これは、マッキンゼーのような外部の支援者が入らず、自社のみで営業改革を進める際もとても効果的な方法です。営業マネージャーが、全社レベルの重要な改革の一環を自身が担うことで、より高い視野で業務に取り組むことが出来ますし、実際に改革に向けて営業パーソンを動かすという経験は、将来的に組織のリーダーとなる際に必要なスキルとなるからです。
このように、グローバルの成功企業では、マネージャーのコーチングの仕組みや、マネージャーに向いた人を抜擢する仕組みなどにより、有能な営業マネージャーを育てる仕組みを組織的に作り、業績改善に成功しています。
マネジメントの皆様が、組織の営業力を鍛え、営業改革を成功させたいと思ったら、まずは営業マネージャーを育てることに力を入れてみることをお勧めします。中間管理職に様々な責任や仕事量が集まり、疲弊してしまっている企業も多くあるでしょう。だからこそ、本当に企業価値につながる仕事だけに、マネージャーのリソースを活用し、モチベーションを上げることが大切です。その鍵こそが、営業パーソンのコーチングに時間を使わせるよう他の付加価値のない仕事を大幅に削る、科学的なコーチングが出来る仕組みを作る、仮説思考が出来る営業を育てるコーチング、組織的にマネージャーを育てる仕組みを作るの4つです。
倉本由香利◎マッキンゼー・アンド・カンパニー パートナー。東京大学理学部卒、同大学物理学修士、マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院経営学修士(MBA)。製造業を中心に、数々の営業改革、営業デジタル改革、売上成長改革、新規顧客開拓、ソリューション営業改革等を支援。マッキンゼーのアジア太平洋地域、および日本における成長・営業・マーケティンググループのリーダー。二児の母で、マッキンゼーにおける女性活躍推進プログラムのリーダーの一人。