ビジネス

2023.12.12 09:30

営業改革成功の最大の鍵は、営業マネージャーを育てること(後編)

有能な営業マネージャーを育てることが、営業改革成功の最大の鍵。前編では、営業マネージャーがコーチングに時間を使えるようにする、そのためには経営者の腹決めが重要であること。そして、コーチングにおいてはスポーツ同様、科学的なアプローチが出来るよう、組織的に、またはAIなどのテクノロジーを活用して支援していくことをお話させていただきました。後編では、残り二つのコツについてご紹介します。


仮説思考の営業を育てるコーチングが、組織の営業力を上げる鍵

有能な営業マネージャーを育てる三つ目の鍵は「仮説思考の営業を育てるコーチング」です。

私自身、様々な業界の企業で、トップ営業と呼ばれる方と沢山お話してきました。その経験から申しますと、売れる営業パーソンは、顧客の情に訴える力もある一方で、仮説思考で物事を考える方が非常に多い。特に、ソリューション営業など、相手のニーズを聞き出して商品を提案することを得意とする営業パーソンは、呼吸をするかのごとく、仮説思考を普段から使っています。

仮説思考とは何でしょうか? それは、物事を知る際、最も知りたい問いを立て、答えの仮説を立ててから、情報を調べてその仮説を検証するという思考方法です。更にその情報からより具体的な問いと仮説を立て、また情報を調べて検証する、というプロセスを繰り返し、考えを明確に、具体化していきます。

営業において、最も知りたい問いは「顧客がお金を払ってでも必要なものは何か、ニーズ、課題は何か」「自社のどの製品なら、顧客が金を払っても買いたいか」です。仮説思考の営業は、一番知りたい顧客ニーズの仮説を立て、本当に必要な情報だけを調べるので、情報収集の効率もよく、最短で答えにたどり着くことが出来るのです。

では営業マネージャーは、どのように営業パーソンの仮説思考スキルを育てることが出来るでしょうか?

顧客を知るとは調べることではない、仮説を立てること

以前私が、ある企業の新規顧客開拓のご支援をした際、顧客ニーズの仮説を立て、更に自社のどの商品が売れるのかの仮説を立てるトレーニングをさせて頂きました。その結果、これまで初訪問での案件獲得勝率が1割以下だった組織で、勝率を2〜3割に上げることが出来ました。

この時、「情報を調べてください」ではなく、
「お客さんにはどんなニーズがありますか?」
「自社のどの商品・サービスが売れるか、具体的で詳細に仮説を立ててください」
と指示することが鍵となります。この指示で、営業の皆様は「調べる」のではなく、顧客のホームページや公開情報の隅々まで、仮説のヒントになる情報がないか「探す」ようになります。営業の方の仮説が具体的でなければ具体的にイメージできるよう、質問をしていきます。

必要な情報を「探す」ことが出来ない営業の方には、横でやり方を見て、「顧客はこの工場で何を作っていると思いますか? 何に困っていると思いますか?」のように質問をして、仮説を作るサポートをします。

例えば、私たちがお客様の工場の生産管理システムを販売する企業だとします。営業マネージャーのMさんが、新人営業Sさんの仮説構築をサポートする、と想定しましょう。
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文=倉本由香利

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