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2023.12.08 12:45

営業改革成功の最大の鍵は、営業マネージャーを育てること(前編)

Forbes JAPAN編集部

有能なプレーヤーが、有能なマネージャーになれるとは限らない、ということは皆様良くご承知のことと思います。

プロ野球で、選手時代に天才と評された某監督は、満塁でホームランを打てば勝てると誰もが思うタイミングで「ここでホームランを打ってください!」と選手に指示を出していたという有名な逸話があります。きっと彼は選手時代に「ここでホームランを打て」と言われれば、どんな状況でもすぐホームランが打てる本当の天才だったのでしょう。

しかし、いかに優秀なプロ野球選手であっても、そんな天才は一握り。多くの選手にとってその指示はほぼ意味をなさないでしょう。投手の性質や癖、状況を考え、どうすればホームランを打てる確率が高まるか、打てない場合どうすれば良いか、分析的、論理的に指示できるのが有能な監督です。

真の営業マネージャーとは、営業の天才ではない。有能なコーチである

私がこの逸話を話しますと、多くの方が大笑いするのですが、実際の営業の現場で「ここでホームランを打て!」レベルの指示を出す営業マネージャーはとても多いのです。「この顧客は今が攻め時だ。今すぐに行って契約を取ってきて下さい!」「この顧客にはこの商品もクロスセルできるはずです。提案をしてきてくれませんか」などなど……。

営業管理職に就いている方は、現役時代にトップ営業として鳴らした方が多いです。天才だった某監督と同様、天才的な営業パーソンほど、顧客にどのような話をすれば契約につなげられるのかを瞬時に理解できる人はとても少ないということを想像できないかもしれません。

顧客先の状況や、営業個々人の性質から、どうすればホームランを打つ、つまり契約を取る確率を上げられるのか、また取れない場合には次に何をすればよいかを分析的、論理的に指示を出せるのが、有能なコーチであると言えます。

マネジメントの皆様は、営業マネージャーを育てる立場になることが多いでしょう。私自身、マッキンゼーにて、数十社の企業の営業改革をご支援してきましたが、良い営業マネージャーを育てることが、変革を成功させる一番の要因になることが多いです。

というわけで、今回この前編では、有能な営業マネージャー、営業コーチを育てるための4つのコツのうち、2つをご紹介します。
 

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文=倉本由香利

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