だが、アイガーの「現場での幹部による監督が十分でなかった」というコメントは、女性3人が主演を務め、黒人女性が監督した映画への評価としては、決して賢明とは言えない(なお、同作は黒人女性監督の映画としては史上最高のオープニング成績を収めた)。映画の撮影中にプロデューサーのケビン・ファイギが文字どおりセットを歩き回る必要があったと言いたかったのかどうかはわからないが、このコメントは横柄で、かなり上から目線の印象を与えるものだ。
その後、アイガーはインタビューの別の部分で、ディズニー映画は第1にエンターテインメント性が必要で、メッセージ性はその次だと述べた。先の『マーベルズ』に関するコメントと、このコメントを合わせると、アイガーは問題の本質を根本的に見誤っているように思える。
たとえば、『マーベルズ』が伝えるのに失敗した「メッセージ」は何だったのか? 誰かを助けようとして、逆に傷つけてしまうこともあるということ? あるいは、女性でもスーパーヒーローチームを結成できるということか? 一方で逆の例を見てみると、抑圧的なファシスト政府を打倒するためにはどんな手段で講じるというメッセージを全面に出したドラマ『キャシアン・アンドー』は、ディズニーの苦戦が最近続くなかで製作されたものとしてはトップレベルの作品となった。
アイガーのコメントは、ディズニーの将来に対する期待を高めるのではなく、むしろ下げるものとなった。スター・ウォーズやMCUのコンテンツを全体的に減らす必要があるということには、基本的には同意できる。両シリーズの作品はもはや、人々を湧き立たせる「イベント」ではほぼなくなっている。ただ、アイガーのそれ以外の発言は、どれも的外れに思える。
(forbes.com 原文)