宇宙

2023.12.01 12:30

太陽系「最小」の水星は太陽系「最大の謎」の存在

表面下の豊富なグラファイト

ニトラーによると、水星の表面は全体がかなり黒っぽいが、大規模な天体衝突によって掘り起こされた物質は、なお一層黒っぽい色をしていることが明らかになっている。これは、恐らくグラファイトの形態の炭素が多量に存在することが原因の可能性が高いという。

グラファイトは黒鉛とも呼ばれ、自然に産出する結晶状の炭素だ。

初めに全体が黒鉛でできた地殻があり、それが後にケイ酸塩の溶岩流で覆われたものが、現在の地殻を形成している可能性があると、ニトラーは説明している。水星が形成された直後にマントルが完全に溶融し、炭素が結晶化してできたグラファイトが、まるで氷山のように最上部まで浮上したという興味深い説もあるという。

水星は現在ある場所で形成されたのか、あるいは太陽系のもっと外側か

ニトラーによれば、大きな核を持つことに関して提案されている説明の1つでは、水星は(金星に似た?)他の天体がかすめるように接触する衝突を受け、マントルの大部分を失った可能性があるとされる。この説明では、水星は太陽からさらに離れたところにしばらくの間位置していた必要があるが、その場所で形成されたことは必要条件ではないという。

ニトラーが考える水星をめぐる最大の謎

それは、水星の起源だという。基本的に、水星の起源を説明するどんなモデルも、大きな核を持つことを説明する必要があると、ニトラーは指摘した。

半世紀にわたる無人機による探査を経ても、水星はいまだにその秘密を守っている。現在進められている探査のペースでは、残念ながら今後数世代にわたり、その謎は続くだろう。

forbes.com 原文

翻訳=河原稔

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