『CoD: MW3』は本当にシリーズ最低の出来なのか? レビュー評価の問題点

安井克至
各メディアによるレビューは、11月7日から11月14日あたりまでに公開された。キャンペーンのアーリーアクセス開始が11月2日、マルチプレイの開始が11月10日だったので、レビュアーの多くはマルチプレイをまったく体験していないか、せいぜい数日しかプレイしていなかったことになる。興味深いことに、PlayStation 5版で最高得点となる82点をつけたメディア「Impulsegamer」のレビューは、他と比べてかなり遅い11月20日に出されていた。

各メディアのレビューを読むと、同じようなコメントが何度も繰り返されている。それは「キャンペーンはひどく、マルチプレイで多少挽回しているものの、全体的にはDLCレベルの内容だ」というものだ。以下にその一部を紹介する。

IGNスペイン「キャンペーンはもっと大きなゲームのスピンオフのように感じられるし、ゾンビはオープンワールドにまったく合っていない。マルチプレイは、DLCにとどまるべきだった製品の救い主となっている」

Destructoid「記憶に残らないキャンペーンなど、ゲームのほぼ半分にやっつけ感がある。(中略)ただ、ゲームプレイの大幅な改善や、『ゾンビ』や『グラウンドウォー』といったすばらしいモードなど、MW3の本当に特別な部分にプレイヤーがのめり込めれば、本作のどこかに価値ある体験があることに気づくだろう」

Pocket Lint「核となるゲームプレイは今も健在であるものの、多くの点で大きな失望を生むゲームだ。キャンペーンはひどい出来で、マルチプレイは相変わらず反復的。おもしろい新モードの『ゾンビ』のみが救いとなっている」

Checkpoint Gaming「マルチプレイでは輝いている一方、キャンペーン、ゾンビ、露骨な金儲け戦術はいら立たしく、ファンは同シリーズのかつての栄光を恋しく思うだろう」

シリーズの他の作品で同じことが起こらなかったわけではない。マルチプレイをしっかり吟味しないままのレビューが出されたことは、これまでにもある。ただ、他の作品のキャンペーンは、MW3ほどひどくはなかった。

キャンペーンを7日間、マルチプレイを2~4日間プレイしたのみのレビューばかりだったことを考えると、その多くがキャンペーンの出来の悪さに偏り、マルチプレイの全体的な感触を考慮していなかったのであろう。あるいは、レビュアーがCoDシリーズにそこまで肩入れしておらず、MW3のマルチプレイの出来の良さが理解できなかったのかもしれない。

これは奇妙な状況だが、ひどいキャンペーンを除けば、全体的に見てMW3が今年最悪の部類に入るゲームであるようには思えない。プレイヤー一般の意見とレビューのメタスコアがここまでかけ離れたタイトルはとても珍しい。

forbes.com 原文

翻訳・編集=遠藤宗生

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