このCXの進化に企業が対応する時、その成否を左右すると新たに注目され始めた概念がEX(エンプロイーエクスペリエンス/従業員体験)である。世界的カスタマーエクスペリエンス・オーケストレーションのグローバル・リーダーの一角であるジェネシスクラウドサービスの米国本社CEOのトニー・ベイツ氏ら経営幹部の来日に合わせ、Forbes JAPAN Web編集長 谷本有香がインタビューを行った。
──エンパシー(共感性)の重要性。EX(エンプロイーエクスペリエンス / 従業員体験)による顧客体験(CX)への影響とは?
弊社で蓄積しているデータから、CXとEX(エンプロイーエクスペリエンス / 従業員体験)は連動することを見出した。そしてこの連動は、従業員側のエンパシー(共感性)があるときに起きると考えている。つまり良好なEXがあるときに、その従業員は高い共感性をもって顧客に対応をしていた、ということになる。言い換えれば顧客目線の対応によって必然としてCXが向上するという関係である。これは日本に古来からある「おもてなし」の文化にも通じるものではないだろうか。
ただ、ここで思い出して頂きたいのは、従来コンタクトセンターという職種は連続するクレーム対応などから「精神的ストレスが高く」「離職率が高い」厳しい印象の職種だということである。このためコンタクトセンターに従事する従業員が共感性を発揮するには、彼らのEXが根本から改善される必要がある。つまり従業員個人や現場任せではなく、企業のマネジメント側による能動・積極的なアプローチ、それもソフト・ハードの両面に継続的な介入が必要と考えている。