気候・環境

2023.11.21 13:00

地球上の氷消失がもたらす、4つの深刻な危機


ICCIは調査結果の中で、観測されたそれぞれの効果による影響は、気温が0.1度上昇するごとに悪化していき、ひとたび氷消失が加速すると、たとえ気温が安定したとしても、数千年間元に戻すことができないことを示している。

その理由により、報告書は早急な排出量削減が急務であることを強調しており、UAE(アラブ首長国連邦)で開催されるCOP28気象サミットを、新たなレベルの世界的目標の舞台になると認識している。

この報告書に答えてアイスランドのカトリーン・ヤコブスドッティル首相は次のように語った。「摂氏1.5度は、2度やそれ以上より望ましいということではありません。それが唯一の選択肢なのです。特に雪氷圏において気温が0.1度上昇するごとに事態が悪化する影響がわかった今、COP28では率直な現状評価と新たな緊迫感が必要です。私たちは具体的な成果、化石燃料の段階的廃止に向けた明確なガイドライン、そして気候変動対策の経済的支援のしくみを必要としています」

国際総合山岳開発センター(ICIMOD)所長でヒマラヤ山脈における気候変動を研究しているペマ・ギャムショは次のように語った。「ヒマラヤおよびヒンドゥークシュ山脈は、世界的雪氷圏危機の中心地であり、当地の氷河、雪、および永久凍土はすでに前例のない不可逆的な変化を受けています。このような変化は、山の水源の時期、供給、および季節分布の不安定さを拡大し、水、食料、およびエネルギーの安全保障を脅かすことで、山岳地域の生活に大打撃を与えます。報告書『State of the Cryosphere(雪氷圏の状態)』は、COP28で行動を起こさないことが大災害を招くという世界の首脳に対する警告です」

COP28(国連気候変動枠組条約第28回締約国会議)は、11月30日から12月12日までアラブ首長国連邦(UAE)ドバイで開催される。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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