北米

2023.11.18 09:00

ビンラディンの手紙がTikTokで急浮上、テロに「共感」するZ世代も

「米国の教育」の失敗

TikTokを使用中の10代の若者やクリエイターの多くは、2001年9月11日に発生した同時多発テロ事件の時にまだ生まれていなかった。フェイスブックのテロ・危険組織対策チームの元ディレクターであるブライアン・フィッシュマンはフォーブスの取材に「『アメリカへの手紙』はプロパガンダであり、TikTokの子どもたちはそれに引っかかっただけでなく、広めている」と語った。

「ビンラディンの手紙が今注目を集めたことは、殺人テロリストを賞賛する受け入れがたい主張がネットで拡散したことと、アルカイダや9.11以降の時代を語るための、アメリカの教育が失敗したことの両方を反映している」とフィッシュマンは語った。

「テロリストたちには、暴力を振るう理由があり、ほとんどの場合は広く認識されている不満を指摘することができる。しかし、だからといって、彼らの暴力が容認されるわけではない。彼らは、非戦闘員を標的にした暴力や殺人を正当化するために、そうした不満を利用しており、ビンラディンはそれを実行に移した。彼の組織と関連するジハード・グループは、9.11で何千人もの米国人を殺害しただけでなく、イラクやシリアやその他の場所で、何十万人とは言わないまでも、何万人ものイスラム教徒を殺害した」と彼は述べている。

ガーディアンが翻訳を削除した理由

ガーディアン紙は、2002年にウェブサイトに掲載したビンラディンの手紙の翻訳文を削除した理由について、この手紙が「完全な文脈なしにソーシャルメディア上で広く共有されたからだ」と述べ「したがって、我々はこれを削除し、読者を本来の文脈を説明したニュース記事に誘導することにした」と説明した。

スタンフォード大学の組織であるインターネット観測所(Internet Observatory)の誤情報の専門家のレネー・ディレスタは、ガーディアンはこの手紙を削除すべきではなかったと述べている。

「彼らは、愚かな選択をした。テロリストの長文の戯言を、人々が再発見して興奮するような禁断の知識に変えてはならない。TikTokの愚か者たちが美化する殺人者が、実際に何を要求していたのかを、人々に知らせるべきだ」と彼女は書いている。

この記事の公開から数時間後に、TikTokのモバイルアプリでは#lettertoamericaのハッシュタグが削除された。しかし、デスクトップでは、まだこのハッシュタグが表示されており、16日午後の時点で1500万ビューを突破していた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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