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2023.11.16 18:30

日本が「出る杭」を歓迎すべきワケ

これらの「出る杭」が成功すれば称賛されますが、失敗すれば大抵の場合は非難され、ときには極端な中傷さえもあるでしょう。

このような白黒思考に基づいた評価は、人間の性格や創造力における多面性を見落としています。

例えば、ピカソやベートーヴェンは、私生活では「常識的」ではありませんでしたが、芸術や音楽への貢献は計り知れません。

現代社会として、私たちは今の「キャンセル・カルチャー」がいかにイノベーションを抑圧するか、危機感を持って理解する必要があります。

「出る杭」を個人として抑圧することは、彼らが社会に今後もたらすかもしれない画期的なイノベーションを抑圧することに等しいのです。

日本では社会への同調が重視されることから、イノベーションを抑圧する傾向が特に強いようです。しかしイノベーションを育む強固な文化を築くためには、この集団的思考からのパラダイムシフトが必要です。

もちろん、非道徳的な行為を容認するという意味ではありません。奇抜さや、普通とは違う考え方が容認されるだけでなく、称賛される環境を作るということです。

アメリカ文化も欠点だらけであることは米国出身の私が真っ先に認めるところではありますが、この分野に関してはアメリカが秀でていて、日本が学ぶことは多いはずです。

「出る杭」は仕事だけではなく、人生のさまざまな面において「普通」から外れた生き方をしていることが多いものです。

彼らは生来からリスクや常識への挑戦を好み、社会を良くする可能性のために個人としての幸福を犠牲にしてしまうことも少なくありません。

多くの場合、これらの正と負の側面は切り離せないものなのでしょう。

社会として、彼らの人生における選択の全てを肯定することはできないかもしれません。しかし、彼らが社会にもたらすとてつもない貢献のために必要なトレードオフとして、合理的な範囲で許容するべきではないでしょうか。

そして「出る杭」を単に受け入れるだけではなく、これからの世の中を変えるのに必要な人材として歓迎する方向へ社会の意識が変わっていく必要があるでしょう。

連載:VCのインサイト
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文=James Riney

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