欧州

2023.11.12 10:00

旧式のレオパルト1A5約200両を手に入れるウクライナ、求められる新戦車戦術

砲手はEMES-18が計算する間、十字線を敵に合わせ続けるだけでいい。その後、仰角を算出するためにレーザーを発射し、そして撃つ。追跡、しばしの時間、炎とすべてが矢継ぎ早に展開される。誘導が外れても、レーザーを発射する手間をかけずにまた撃つことができる。

EMES-18の使いやすさ、ひいてはレオパルド1A5の射撃速度は有名だ。今では最新の戦車はすべて、仰角と誘導を自動調整する射撃管制システムを備えているが、そのほとんどは両方の調整にレーザーからのデータを用いる。

そして、射撃管制システムの多くはEMES-18よりも遅い。T-64は自動装填装置を搭載しているにもかかわらず、通常1分間に8発も撃てない。人間が装填し、高速の射撃管制を行うレオパルト1A5は1分間に10発は撃てるだろう。

レオパルト1A5の最大の弱点は、現代の水準からすると装甲が薄いことだ。重量70トンのレオパルト2は、より大型の主砲の搭載と装甲の強化を念頭に開発が行われた。

レオパルト1A5は軽量で、レオパルト2の半分強ほどしかない。軽いのは主に装甲が薄いためで、最も厚いところでも70mmしかない。これはレオパルト2の装甲の10分の1だ。

レオパルト1A5を運用するブラジル軍はこの問題に戦術で対処している。同軍の将校アドリアーノ・サンティアゴ・ガルシアは2020年に米陸軍の軍事専門誌『アーマー』に「持っているもので戦う」と書いている

レオパルト1A5に関していえば、それはかなり高精度の砲で敵軍を狙撃できる位置に戦車を置くと同時に、反撃から戦車を守るためにあらゆることを行うことを意味する。「有利な場所を確保すること」「カモフラージュを使うこと」とガルシアは強調した。

「戦車長は自分たちの車両の操縦方法を研究しなければならない」とガルシアはいう。「射撃が可能な地点で守られながら敵の陣地に接近し、陣取ったり、ダメージを与えたりするために、安定した、意気のあった操作で姿を消す」

ウクライナ軍がやってはいけないのは、これまでレオパルト2で頻繁に行ってきた歩兵の支援なしに、小さなグループでロシア軍の陣地へ直接乗り込むという作戦だ。

200両というのはかなりの数だが、適切に配備しなければ、すぐに失ってしまうだろう。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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