もしかすると、桟橋や乾ドックにいるときは特にそうかもしれない。
ウクライナ空軍のスホーイSu-24爆撃機は、11月4日土曜日、ロシアが占領するウクライナ南部クリミアの東端に位置するケルチの桟橋周辺に停泊していたロシア黒海艦隊のコルベット艦アスコルドに向けて、少なくとも3発の巡航ミサイル(英国製のストームシャドーかフランス製のスカルプ)を発射した。
ウクライナ政府が公開した映像からは、ミサイルがアスコルドをひどく損傷させたことがうかがえる。全長約67mのアスコルドは、ますます攻撃を受けるようになっている黒海艦隊の新鋭艦のひとつだ。
ウクライナ軍の戦略広報局は攻撃を認め、「ロシア軍の巡航ミサイル搭載可能なアスコルドは損傷した。『ステルス』技術を用いたカラクルト級プロジェクトの最新艦だ」と説明した。
ウクライナ空軍は、スカルプミサイルの写真を添えたソーシャルメディアへの投稿で「週末はいかがでしたか?」と皮肉を飛ばした。
アスコルドは、ウクライナ軍のミサイル搭載爆撃機の犠牲となった最新の例だ。同軍は9月13日にもクリミア西部セバストポリにあるロシア海軍基地をミサイルで攻撃し、乾ドックに入っていた潜水艦と揚陸艦を損傷させた。
大型の軍艦を持たないウクライナ軍との1年10カ月にわたる激戦で、ロシア黒海艦隊は少なくとも巡洋艦1隻、水陸両用艦3隻、潜水艦1隻、補給艦1隻のほか、数隻の哨戒艇や上陸用舟艇を失った。そして今回はアスコルドだ。
損傷を免れている十数隻ほどのミサイル搭載可能なフリゲート艦やコルベット艦、そして対潜哨戒艇が、黒海艦隊に残された水上の戦力の大半を占めている。だがこれらの艦船は、ウクライナ軍のミサイルやロケット、無人航空機(UAV)、無人艇、工作員による攻撃を避けるために細心の注意を払わなければならない。
これらの脅威の中で巡航ミサイルが最も危険かもしれない。重量1.3トン、射程約250kmの巡航ミサイルは二重貫通弾頭(タンデム弾頭)を搭載し、軍艦を内部から爆破することができる。ケルチは、ウクライナ南部のウクライナ軍の陣地から発射されるストームシャドーとスカルプの射程圏内だ。
GPSや地形照合、赤外線画像などで誘導される低空飛行のスカルプやストームシャドーが標的に命中すると、まず先端部分の信管が指向性爆薬が詰まった小型の弾頭を爆発させる。この弾頭が地面やコンクリート、金属の表層に穴を開け、そこからミサイルが標的の内部に入り込むと、2つ目の弾頭が爆発する。
オスロ大学で兵器の拡散を研究しているファビアン・ホフマンは「この弾頭設計により巡航ミサイルは硬い標的物を貫通できる。以前はレーザー誘導爆弾でのみ可能だった」と説明。「そのため、ストームシャドーは表面が硬い標的に対して非常に有効な武器だ」と指摘した。