大規模イベントの「大量のゴミ」問題。解決策は?

廃材とCO2排出削減に向けた3つの方向性

同社は今後も、より環境配慮型のイベント設計を推進し、お客様に価値の提供をしていきたいと羽山氏は語る。

イベントを企画する段階から、省エネ設計、安全設計など、サステナブルな製品を組み合わせて生まれる空間設計の実現を目指す。また、製作、運搬、現場の施工まで全ての工程を自社で一貫して行う運用を通じて実現する廃材削減率やCO2排出量削減率を数値化・可視化し、下記3つの観点から削減率の可視化を図っていく。同社は2020年にISO20121(イベントの持続可能性)国際規格を認証取得。マニュアルに沿った取り組みがされている。

1. 代替(リユース製品への置き換え)
2. 縮小(資材をコンパクトに)
3. 効率化(効率的な作業や輸送)

SHOEIベイスタジオ屋根に2022年に設置した太陽光発電システムについても今後発電量を増やし、2025年までに、スタジオ内で使用する電力は100%グリーンエネルギーでまかなうことを目指す。

小学生や中学生の校外学習受け入れにも力を入れ、次世代にイベント業界の魅力を伝える活動、SDGsについて学んでもらう機会の提供も行っている。

取材後記

イベントに参加すると、「環境」「エコ」「SDGs」などを謳ったイベントであっても、そこで配布されるパンフレット類、使い捨て容器類、イベントや企業のロゴ入りエコバッグなど、会場内の目に見える部分だけでも資源の消費の多さが気になることが多い。

展示物や装飾などがイベント終了後にどのように扱われるのか、参加者から見えない部分の環境負荷についてはさらに懸念される。

イベント用に製作した造作物を極力廃棄しないという昭栄美術の姿勢には、イベント制作に関わる人達に対する配慮も感じられた。従業員が作った大切な作品を、イベントが終了したからといって捨てたくないという想いが、捨てなくてすむサービスの構築につながっている。

今回SHOEIベイスタジオを見学し、製作工程のどの部門で使用される場所においても、徹底的な整理整頓が図られている様子には驚いた。作業効率の向上、作業員の安全確保、徹底した廃棄物の分類など、実用性を考慮されたうえでの美しさであった。

【公式サイト】
昭栄美術


※この記事は、2023年10月にリリースされたCircular Economy Hubからの転載です。

文=和田 麻美子

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