「当社は、システムに組み込まれた著作権セーフガードによって顧客を保護することを約束しているが、本日からさらに一歩踏み込んだ著作権シールドを導入し、著作権侵害の法的請求に直面した顧客を保護し、発生した費用を負担する」と同社は6日にサンフランシスコで開催した初の開発者会議「OpenAI DevDay」で発表した。
「この規定は、ChatGPT Enterpriseと開発者プラットフォームで一般的に利用可能な機能に適用される」と同社は述べ、無料サービスを使用する顧客は対象外であることを明らかにした。
OpenAIは、ChatGPTのようなプロダクトの開発にあたり、しばしば著作権者の許可なく、既存の書籍やウェブサイトなどを学習データに使用しているが、多くの著作者は、この行為が知的財産権の侵害だと訴えている。
OpenAIの著作権侵害に関しては、すでに多くの集団訴訟が起こされており、その中には『ゲーム・オブ・スローンズ』の原作者のジョージ・R・R・マーティンのような大物作家が起こしたものが含まれる。彼らは、自身の著作物が学習データとして不適切に使用されたと主張しているが、OpenAIを含むAI企業は、彼らのデータの使用が米国著作権法のフェアユース(fair use)と呼ばれる例外規定の下で保護されていると反論している。
フェアユースは、表現の自由の観点から著作権法のより自由な解釈を認めるために、最高裁判所が定めた原則だ。この原則の適用にあたり考慮されるのは、使用される著作物の量と、その著作物を使用する主体が利益を上げているかどうかだ。
例えば、フェアユースの最も明確な例としては、非営利の教育機関が長い本の中の一段落をプリントアウトし、その著者の作品について教室で議論を行うことが挙げられる。しかし、OpenAIのような営利目的の組織には、それとは異なる基準が適用される。
米最高裁判所は5月に、アーティストのアンディ・ウォーホルが著名歌手プリンスの肖像写真を元に作成した作品の裁判で、フェアユースの問題を取り上げた。この裁判で、ウォーホルの死後に作品の管理を引き継いだアンディ・ウォーホル美術財団は、一連の作品にはもとの写真にはない意味や性質があると主張し、フェアユースに当たると主張した。しかし、最高裁はこれを認めなかった。
フォーブスは、OpenAIに問い合わせのEメールを送り、同社の顧客が著作権問題で訴えられた件数を明らかにするよう求めたが、現時点で回答は得られていない。返答があればこの記事を更新する。
(forbes.com 原文)