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2023.11.07

マスクの人工知能スタートアップxAIのウィットに富むチャットボット「Grok」

イーロン・マスクのxAIは先週末、Grokを発表した(Getty Images)

イーロン・マスクは、米国時間11月5日に、彼の人工知能スタートアップのxAIは、ソーシャルプラットフォームで万能アプリを目指すX(旧ツイッター)に組み込まれる予定であると語った。この発表が行われたのは、xAIがOpenAIのChatGPTやGoogleのBardのような人気AIツールに対抗すべく、待望の最初の製品を発表した翌日のことだ。

マスクは、昨年440億ドル(約6兆6000億円)で買収したX上で、xAIは「Xアプリに組み込まれる」と投稿した。

またこのAIは「独立したアプリとしても利用できる」とマスクはいう。

このマスクの投稿は、Xのユーザーからの「ChatGPTアプリを携帯電話から『削除』させたいので、xAIがアプリを作るのか」との質問に答えたものだ。

マスクは、独立したアプリや統合アプリがいつリリースされるのか、どのような機能が含まれるのか、誰にどの程度の費用で提供されるのかについては明言を避けた。

米国時間11月3日にマスクは、xAIはグーグルやOpenAI、そして人気のAIチャットボットであるBardやChatGPTのような業界リーダーに対抗するために、最初のAIモデルを発表する準備をしていると述べていた。「Grok」(グロック)と名づけられたこのチャットボットは『銀河ヒッチハイク・ガイド』をモデルにしており、翌日にはXの有料会員向けに「超初期ベータ版製品」として提供された。

xAIは、Grokは「質問に対して少しウィットに富んだ答えをするように設計されており、反抗的な一面を持っている」と述べ「ユーモアが嫌い」なユーザーは手を出さないようにと述べている。マスクは、ChatGPTのような他のAIモデルに比べてGrokは「Xプラットフォームへのリアルタイムアクセス」を有しているため「大きな利点」があると述べている。

企業名に共通する「x」という文字を持ち同じトップ(マスク)を共有しているものの、これらの企業は独立した存在である。xAIのウェブサイトによれば、xAIはX Corp.(マスクが今年初めにTwitterの名前を法的に変更した会社)とは独立した存在だが「私たちのミッションに向けて前進するために、X(Twitter)、テスラ、他の企業と緊密に協力する」とされている。

今回のGrokのデビューは、7月にマスクが「宇宙の真の姿を理解する」というミッションの下にxAIの立ち上げを発表してからわずか数カ月後のことだ。マスクは同社の急速な展開について、xAIの「計算能力は2~3カ月ごとに倍増しているので」と述べている

フォーブスの推定するマスクの資産額は2309億ドル(約34兆6600億円)で、世界の富豪リストのトップに君臨している。マスクの資産の多くは、自動車メーカーのテスラ、宇宙航空企業のスペースX、脳コンピュータインターフェイス企業のニューラリンク、交通渋滞を解消するトンネル掘削会社のBoring Companyなど、彼が創業に関わった価値ある企業の集合体から生まれている。

彼はChatGPTの生みの親であるOpenAIが2015年に立ち上げられたときの共同創業者であり、初期の出資者だったが、買収に失敗したとされる2018年に退いている。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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