空からの攻撃
IDFはまず、空からハマスの地下網を攻撃した。10月7日に始まった大規模な空爆は、建物の中に隠されていることが多いトンネルの入り口や浅い部分を標的にしたとみられている。地上作戦では、IDFはガザを入念に掃討し、保持することを目指しているようだとロスキンはいう。トンネルの開口部が発見されれば、IDFはその下にあるトンネル網の地図作成を試みるだろう。近隣のトンネル開口部を特定するために煙を送り込むこともできる。
また、ロボットや小型ドローンの投入もあり得る。準備されているものの1つが、イスラエル企業ロボチームが開発した監視ロボットIRISだ。遠隔から操作できる4輪走行のIRISは重さ1.6kg。トンネルの入り口に落としたり投げ込んだりすることができる。同じくイスラエル企業のエルビット・システムズは昨年、ラニウスという名称の小型の自律型ドローンを発表した。同社によると、屋内空間の地図作成ができ、必要であれば自爆もできるという。IDFはまた、地下での活動のために特別に訓練された爆発物探知犬も使っている。
加えてIDFはトンネル掘りに携わった人物や、開口部の場所を知っている人物を見つけようと、民間人を尋問することもあるとロスキンはいう。
トンネル網を破壊するのは不可能だ。大規模で、学校や病院といった民間施設の地下に作られているトンネルもあるからだ。
トンネルの水責め
だがIDFはトンネルの一部や入り口を破壊したり、封鎖したりすることはできる。一帯を制圧した後は、大量輸送用トラックや消防車を投入して部分的に浸水させることができる。使うのは水よりも下水のほうがいい。固形物によって粘度が高いため、吸収されにくいからだとロスキンはいう。コンクリートや、粘土などを水と混合させたものを送り込むこともできる。戦闘中に開口部をすばやく塞ぐためにIDFが開発したユニークなものの1つが、歩兵が携行する、2種類の化学物質が入った袋だとスペンサーは指摘する。これらの物質を混ぜると粘度が高く、硬化の早い黄色い泡ができる。「開口部を使えなくすることで、そこを通過し、近づいてきた誰かに背後から撃たれることを心配しなくていい」
地下戦の訓練を受けた部隊(主にサムールや精鋭の特殊部隊サイェレット・マトカル)がトンネルに突入する際には、ロボットやドローン、そして攻撃訓練を受けた犬が先陣を切る。前方の兵士は弾道盾を携行する。
地下に潜れば、サムールは地中レーダーやその他のセンサーを使って、地上からは感知できないトンネル網の深い部分の地図作成を試みることができるとロスキンは話す。
電力や照明、換気を遮断し、ハマス戦闘員がさらに深いところから上がってくるのを待つのがIDFにとって理想的だろう。「トンネルにただ居座ることだ」とロスキン。ただ、人質がいることが予想されるため、それは複雑だ。民間人の死者が増えるにつれて作戦中止を求める圧力が高まる中、イスラエルは時間との戦いに直面するかもしれない。
「軍隊が必要とする一番大事なものは何か。それは時間だ」とロスキンは話した。
(forbes.com 原文)