宇宙

2023.10.31 15:00

太陽活動「極大期」到来早まる? 当初予想より活発かつ長期になる見通し

オーロラハンターには朗報

SWPCによる今回の予測では、第25太陽周期の著しい活発化が強調されているだけでなく、太陽活動のピークがこれまで考えられていたより長く続くことが示唆されている。コロラド大ボルダー校構内にある米国立太陽天文台(NSO)の太陽物理学者で、『The Sun: Beginner's Guide To Our Local Star』の著者のライアン・フレンチは、電子メールで「新たに発表された予報では、太陽極大期を2024年1月から10月の間と予測している」と説明した。

しかしながら、黒点の減少は増加よりも時間がかかるとも、SWPCは予測している。「太陽極大期に二重のピークがある可能性があり、少なくとも2027年までは、オーロラが見える頻度が高くなるなどの太陽活動の上昇が予想される」とフレンチは述べている。

そうなると、太陽極大期が次の皆既日食と重なる可能性もあるようだ。次の皆既日食は、北米では2024年4月8日に、日食の経路となる幅約185kmの狭い皆既帯内から見られる。

遅れた更新

NOAAの2019年予測は、夏の間に情報が古くなってしまったようだ。5月~7月の太陽黒点数は、予想を上回っていた(最大値は6月の163)。これは、ライバルである米国立大気研究センター(NCAR)の太陽周期モデルによる予想の方が正確である可能性を示唆するものだ。NCARは2020年に発表した予測で、第25太陽周期は観測史上最強クラスになる可能性があり、黒点の最大数が210~260に達するとしていた。

NOAAの宇宙天気予報センター(SWPC)が発表した第25太陽周期の太陽活動予測の改訂版と2019年のパネル予測との比較図(NOAA/NWS)

NOAAの宇宙天気予報センター(SWPC)が発表した第25太陽周期の太陽活動予測の改訂版と2019年のパネル予測との比較図(NOAA/NWS)

静穏化する太陽

だが、太陽に関して静穏な10月を経てSWPCが発表した今回の予測は、観測史上最強の太陽周期となる可能性をめぐる興奮に水を差す形になった。「今月の静穏化に先立ち、今年のこれまでの期間は太陽活動が異常に活発だった。このことが、史上最強の太陽周期に関する何らかの示唆を促した」とフレンチは指摘している。「NOAAの最新予報では、この可能性は低いと示唆しているが、モデルには常にある程度の不確実性が存在するため、(可能性は低いものの)記録的に活発な周期が起こるかもしれない」
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翻訳=河原稔・編集=遠藤宗生

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