「変化に強い職場環境」を、さりげなくつくる方法

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スピードやアジリティ(機敏性)を、組織のパフォーマンスと結びつける調査や研究は山のようにある。このことを考えれば、不測の事態が起きる前に、従業員が「変化に慣れていること」は絶対に欠かせない。しかし職場において、新しい考え方や対応の仕方を導入するのはなかなか難しい。

こうした状況で、アジリティを構築する戦略として有効なのが、小さく始めることだ。例えば、自分が主催する日々のミーティングに、サプライズの要素を何気なく忍びこませたりするといい。

・ミーティングに、予測できない要素を加える。まずは、議題から考えてみよう。従来の要素のうち、変えられるものはどれだろうか? 例えば、通常の議事項目ではなく、関連する「質問のリスト」を参加者に送ってみよう。あるいは、バーチャル会議の参加者に対して、会議に加わる前に、いつも使っている背景の項目や要素の一つを変えるように指示するのもいい。「会議の最後に、変わった点を指摘してほしい」と参加者たちに伝えておくと、ミーティング全体を通じて集中を促せるだろう。

・予想外のセッティング。対面ミーティングなら、参加者を引きつけておくために、体の動きを採り入れよう。例えば、ブレインストーミングの際に、ノートパソコンではなく付箋やマーカーを使うように促してもいいし、天気がいい日には散歩をしながらミーティングを開くという手もある。バーチャルの場合は、電話でオーディオミーティングに参加できるようにすれば、参加者がスクリーンから離れることができる。

・いつもと違うアクティビティ。参加者の頭の回転を速め、即座にアイデアを出せるようにするため、まずは緊張をほぐすところから始めよう。これは、全員が知り合いであっても同様だ。「Connections(コネクションズ)」のような頭の体操になるゲームや、「Jackbox(ジャックボックス)」パズルを一緒にしてもいい。あるいは参加者に、ミーティングの目標に関連した自分の所有物を何か持ってきてほしい、と頼むのもいい。筆者は以前、自分が「革新的」だと思う10ドル(約1500円)以下のものを参加者が紹介するミーティングを開き、部下が「革新」をどう解釈しているかについて貴重な知見を得たことがある。

・いつもとは違う参加者。その分野の関係者や業界専門家を招き、話題になっているトピックに関する知識を深めよう。まったく別の組織の従業員に、ブレインストーミングに参加してもらってもいい。また、カスタマーやクライアントにミーティングに参加してもらえば、貴重な知見が聞けるはずだ。目標は、ある程度のサプライズを導入し、参加者を意欲的な状態に保つことにある。次に何が起きるか予測がつかないとき、人は「現在」に集中しやすくなる。そうしたことを繰り返していくうちに、状況に対して機敏に反応できるようになっていくはずだ。

「いつもの状態」を覆すことで、予測不能な事態が生じる。だが、これは単なるミーティング、つまりは、失うものの少ない状況なので、メンバーの神経をすり減らす可能性は低い。こうしたやり方を導入して、チームのルーチンワークにできるだけサプライズを盛りこめば、予測できない変化に対するチームメンバーの「慣れ」を高めることができるはずだ。

forbes.com 原文

翻訳=梅田智世/ガリレオ

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