従業員のポテンシャルを引き出す方法 働き方の「ニューノーマル」

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ビジネスの世界は、新型コロナウイルスの感染拡大や社会不安、より良いワークライフバランスを求める従業員の離職などにより、大きく混乱しています。

ビジネスリーダーたちは、変化することが「ニューノーマル」であることを認識し、成功のためには新しいラーニングエコノミーを取り入れる必要性に気づかなくてはなりません。

能力開発の公平性は、全ての従業員が機会を平等に得て、そのポテンシャルをフルに活かすために、極めて重要です。本題について世界経済フォーラム(WEF)のアジェンダからご紹介します。


経済に関する最近の話題のほとんどは、新型コロナウイルスの感染拡大による影響がもたらした不確実性や、長引く社会不安、多くの国で従業員が個人の成長とウェルビーイング(幸福)のより良い機会を求め離職していることによる企業の人員不足による影響など、誰もが予想するような内容です。

これだけの不安材料があっても、最近のニューヨーク・タイムズの記事は「最悪の事態はまだこれからだ」と述べています。不安をあおるような予測ですが、チャンスのある分野も存在しています。こうした不安定な社会を作り出している要素が、私が「新しいラーニングエコノミー」と呼んでいる新しい形態に移行する土台を築いているのです。

ここ数年、事業を素早く方向転換し、変革するといった能力を持つ人や企業が注目されるようになってきました。大半のビジネスリーダーたちは、変化が「ニューノーマル」であることを自覚するようになったのです。

刻々と変化する状況が、新しいラーニングエコノミーを促し、未来の働き方を定義しています。リーダーたちは、絶えず変化する状況において最善の態勢を整えようとしていますが、その中で自分たちが何を、そして、誰を、見落としているのかに、気づいていない可能性があります。

新しいラーニングエコノミーとは


新しいラーニングエコノミーでは、学習と変化のスピードの間に最大の機会が存在すると考えます。このことは、専門家を育成することがいかに重要かという点に大きく関わってきます。


新しいラーニングエコノミーは、組織にどのようにメリットをもたらすのでしょうか。 Image: ExecOnline

最も重要なのは、競争で勝ち抜くための態勢をどれだけうまく整えられるかは、企業がいかにテクノロジーを活用し、これまで以上にインパクトのある公平な方法で質の高いトレーニングや能力開発を従業員に提供できるかによって、決まるということです。

新しいラーニングエコノミーにおいては、変化のスピードを上回るスピードで学習を継続できれば、優位に立つことができます。ほかの経済モデルと同様に、新しいラーニングエコノミーは幾つかの目標に向かって動いています。

成長:企業が成長するためには、従業員の能力向上をどれだけ適切に支援することが重要であり、その目的は、アジリティや適応力の向上といった企業のニーズに、従業員が貢献できるようにすることにあります。

雇用:能力開発に対する市場の需要を満たせば、雇用主は、既存の従業員を定着させ、成長目標に対する評価と支援を望む新しい人材も引き寄せることができるため、コスト削減に繋がります。

安定性:不況下では、能力開発の優先順位が下がりがちですが、費用対効果の高い方法でアクセスを民主化かつ拡大する枠組みを確立すれば、長期的な持続可能性がもたらされます。

能力開発の公平性とは何か、なぜそれが重要なのか


私は弁護士として働き、その後企業に移りましましたが、そのときに「肩をポンとたたく」ことの持つ力を知りました。一見、簡単そうに見えるその行為が、経営幹部のパートナーやその一員になる近道だったのです。

しかし、リーダーシップの研修やストレッチプロジェクト、経営幹部との面談に抜擢される人たちは、往々にしてその経営幹部と似たような顔ぶれになっています。
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文=Stephen Bailey, Co-Founder and Chief Executive Officer, ExecOnline

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