従業員のポテンシャルを引き出す方法 働き方の「ニューノーマル」

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ビジネスリーダーたちは、多様なバックグラウンドを持つ候補者の採用や昇進に際して、「パイプラインの問題」を嘆きます。しかし、彼らに必要なのは、仕事の成長を促す明確で客観的な手段を通じ、候補者をどれだけ支援し、力を与えることができるかを検討することです。

このような能力開発の公平性の欠如、つまり過小評価されているグループの人々がキャリア向上のための正式な能力開発の機会を平等に与えられていないことは、新しいラーニングエコノミーにおいて、組織がその人材や職場のポテンシャルを十分に活用できていないことを意味します。

多様性のあるチームとリーダーたちを持つことの利点は、多くの研究で明らかにされています。イノベーション、市場シェア、収益の拡大は、そうした利点のほんの一部に過ぎません。しかし、理由はほかにもあります。それは、2020年の春以降目にしてきた人間中心の変化に根ざしたものであり、多くは「代表」という一語に要約することができます。

リーダーたちとチームは、少なくとも、組織が接触しようとする人材を熟考する必要があります。人口は変化しており、特にグローバル企業では、人種・民族、ジェンダー、年齢だけでなく、文化的基盤、言語、信仰などの多様性に留意しなければなりません。

ビジョンのあるリーダーたちは、能力開発の公平性を実現する方法を見出しています。また、組織内のあらゆるレベルのあらゆるバックグラウンドを持つリーダーたちを包摂し、その昇進を可能にする職場文化を創り出しています。レジリエント(強靭)で状況に応じて対応できる労働力を構築する基盤になるのは、安全で支援体制の整った職場環境づくりを志向する、共感力のあるリーダーシップです。

企業に求められる、未来の働き方に向けた備え


変化が「ニューノーマル」であるならば、未来の働き方に必要なのは、これまでにない視点や、アジリティに対する経験と能力を持つリーダーシップです。こうしたリーダーシップは、自分自身や他人をどのように捉え、どう優先させるかというヒューマニズムの変化に立ち返り、継続的な学習と能力開発の機会の必要性に注意を向けます。

組織は、具体的に3つの領域において、そのアプローチをより戦略的にできます。

手段:専門能力の育成に必要なシステムやツールに適切なリソースを投資するだけでなく、能力育成の経験を目的のための手段として重視する学習文化の創出すること。つまり、従業員が自助努力でプロフェッショナルとしてさらに成功することを目的に、それに必要なものを習得することを重視する文化をつくりあげることです。

モダリティ:情報を習得、定着させる方法は人それぞれなので、ライブやオンデマンドのコース、伝統的、試験的な形式、コーチングへのアクセスなどを組み合わせて提供します。包摂性の精神においては、能力開発のための指導言語を選択できるように複数用意することも重要です。

測定:測定していないものを管理することはできません。能力開発の公平性とリーダーシップ全体の育成の両方において、基準値を定め、目標を掲げ、マイルストーンに向けた進捗を追跡しなくてはなりません。

変化のスピードは加速しています。近い未来、「現状維持」では生き残れなくなるだけでなく、一歩あるいはそれ以上の後れをとることになるでしょう。同様に、一部の従業員に何らかの学習・育成体験を提供することで、新しいラーニングエコノミーの参加者になることもできます。

ただし、能力開発の公平性を優先し、アジリティと能力を組織全体で全面的にサポートするための必要な変化を起こさなければ、未来の働き方における組織の成功の可能性を完全に逃してしまうことになるでしょう。

(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)

連載:世界が直面する課題の解決方法
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文=Stephen Bailey, Co-Founder and Chief Executive Officer, ExecOnline

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