太陽系で発見された光の正体は太陽光に捕らえられた「彗星による汚染」の可能性

太陽系を取り巻く仮想的な宇宙塵雲のイメージ図(NASA, ESA, ANDI JAMES [STSCI])

私たちの太陽系はその内側も輝いている。春に北半球のどこか本当に暗いところへ行って日没後1時間ほどしたとき、さっき太陽が沈んだ場所のすぐ上に、三角形の光が見えるだろう。「false dusk(偽の夕暮れ)」として知られるこの現象は「黄道光」と呼ばれるもので、太陽系にとり残された宇宙塵に反射した太陽光だ。

その宇宙塵は太陽を他の惑星と同じ平面上で周回している。これを「Mars Light(火星の光)」と考える人たちもいる。赤い惑星が惑星間空間に塵を放出しているためだという。いずれにせよ、これは太陽系で最も大きいものであり、太陽系が誕生して以来存在している可能性がある。通り過ぎた小惑星や彗星からのものかもしれないし、惑星自身が形成されたときの残骸かもしれない。

現在、科学者たちは、似たような光が太陽系の周りにもあると考えている。

SKY-SURFプロジェクトに参加している天文学者たちが、ハッブル宇宙望遠鏡のアーカイブにある20万枚の画像を処理して、空の背景に残る光を発見した。彼らはあらゆる恒星、銀河、惑星からの光さらに黄道光も除去することでそれを実現した。黄道光とは違いこの光は惑星と同じ面に存在するが、太陽系全体を覆うように球状に広がっている。

ハッブル宇宙望遠鏡は、微かな光の輝度レベルを正確に測定できるという特殊な能力があり、これまで研究者たちが30年以上利用してきた。

では、この光はどこからきているのか? まだ望遠鏡で見たことのない彼方の銀河から? 崩壊しているダークマター? 太陽系9番目の惑星だった冥王星ほどの距離にあるこの塵の環は、彗星由来の汚染である可能性が最も高いと科学者たちは主張している。


黄道光は1年のある時期に日没直後と日の出前に見られる(Getty Images)

彗星は太陽を周回しているが太陽系に入ってくるのは稀なことであり、彗星は太陽に近づくと溶け始め、その際に塵と氷を吐き出す。

2015年に冥王星近くを飛行した探査機ニュー・ホライズンが、すでに空の背景を測定しているが、今回の新しい発見はそれとは異なるものだ。「もし私たちの分析が正しければ、地球とニュー・ホライズンが測定を行った位置との間に別の宇宙塵成分があることになります。それは、これが太陽系内部からきている新しいタイプの光であることを意味しています」とアリゾナ州立大学のティム・カールトンはいう。「それは、これまで仮説はあっても定量的に測定されたことのない太陽系に含まれる新たな要素かもしれません」

研究グループの論文は、The Astronomical JournalおよびThe Astrophysical Journal Lettersに掲載されている。

澄み切った空と大きな瞳に願いを込めて。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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