米ケーブルテレビ局のHBOが、本記事で紹介する方法でこれを行ったところ、競合他社が自社を潰すために取り得る戦略を挙げた6ページの文書が作成できた。テキサス州のある市議会は、市に対する潜在的な脅威を予測するために、毎年これを行っている。ある米国の鉱業会社は、四半期ごとに競争力と市場原理を見極めるためにこれを行っている。
あらゆる階層の社員を、遠隔、対面、またはハイブリッド形式の社内会議に招待し、次の問いを提示しよう。「2024年に自社を廃業に追い込むものは何か?」。これは冗談ではないと明言したうえで、会社が経営破綻に陥るあらゆるシナリオを想像してもらう。
「どうすれば競合に勝てるか?」という問いは良く聞かれるが、その逆を考えてもらうことで、内部事情に通ずる人々から自社ビジネスの弱点が明らかになる。
全員に、それぞれの考える脅威を付箋などに書き出してもらう。例としては、「主要な競合他社が主力製品を3割安の価格で売り始める」、「消費者の需要が突然40%減少する」、「ユーザー情報の流出が発覚する」などがあるだろう。
社員は、会社の欠点についての率直な意見が許されれば、それに応じてくれる。そして、30分で30の弱点を挙げたなら、それこそが差し迫った脅威に前もって対処するために必要なものだ。結局のところ、競争相手はあなたの企業のプライドや指揮系統など気にしていない。どんな手を使っても勝ちたいと思っているだけだ。
次に、各参加者に付箋を皆に見せてもらう。それぞれの脅威を大きいか小さいかに分類し、その脅威を取り除くのは簡単か、難しいかを尋ねる。皆が書いた付箋を並べて、どの脅威が最も大きいか、最も簡単に取り除けるかについて話し合う。そして、上位3つを投票で決める。
合意が得られたら、そうしたことが起こらないようにするにはどうしたらいいか、皆に尋ねる。たとえば、需要の40%減に備えるために、戦略的買収を行って顧客基盤を拡大することは可能だろうか? また、個人情報流出のリスクを下げるために、消費者データの保護を強化する暗号化技術に投資するのはどうだろうか?