商店街で育った世代が店を始めて、活性を促進する
移住の促進に力を注ぐ人がいるなら、自分はすでにそこで暮らす人のことを考えたい。網走で生まれ育った田中さんにとって、自分を守り続けてくれた商店街の人たちは親戚のようなもの。その思いが商店街のあたたかさや親しみやすい雰囲気につながっているのかもしれない。その想いに応えるようにして、最近も新たに一軒の店がオープンした。
「網走では、他にはない店です。オーガニックで無添加の食材を販売したり、お弁当を作って売ったりしているんです。じつは、店主も働いている人も、この商店街で青春時代を過ごした人たちなんですよ」と嬉しそうに教えてくれる。
「無添加ごはん88」は、網走で初めてのオーガニックショップ。もともと信用金庫だったという広い場所で、半分を販売スペースにし、残りをイートインできるカフェとして使っている。
「高校生のころ、よくここの商店街で遊んでいて、思い出がたくさんある場所なんです。買い物したりダラダラ歩いていたりするだけで楽しかった。それが少し寂しくなってしまったので、なんとか活性化につながる役目を果たせたらという思いもあって」と、店員のあああさんが話してくれる間も、客足は絶えない。他にはない食材やお弁当を扱っているだけでなく、イベントも積極的に開催していて、料理教室やファスティングのサポートなどもしている。
田中さんは、この店のために場所のマッチングや資金繰りのサポートなども手がけたという。若い世代が戻ってきてくれたということが、本当に嬉しかったのだろう。照れくさそうに「私もここのおにぎりが好きなんです」と教えてくれた。