耐え難い暑さ
人間の活動による気候変動は、致命的な熱波をより頻繁に、より激しくしている。研究者によれば、健康な若者にとってさえも猛暑が致命的な脅威となる転換点が近づいている。保険に加入できない未来
気象災害による被害額は近年急増しており、昨年だけで全世界で3130億ドル(約46兆円)に達し、2040年までにさらに倍増する可能性がある。リスクを抑えるために、住宅保険会社は保険料の値上げや保険契約の打ち切りを行い、保険が利用できないか、保険料を支払うことができない「保険に加入できない」地域を作り出す。そうなると、人々は「災害が発生したときに経済的なセーフティネットを失う」ことになる。「私たちが無差別に水資源を使用し、自然や生物多様性にダメージを与え、地球と宇宙の両方を汚染するにつれて、私たちの生活が依存しているシステムそのものを破壊しかねない転換点に、私たちは危険なほど近づいています」と、報告書の主執筆者で国連大学環境・人間の安全保障研究所のジタ・セベスバリは述べ、「私たちはまた、将来の災害リスクに対処するための手段や選択肢を失ってしまうのです」と付け加えた。
この報告書は、来月ドバイで開催されるCOP28を前に、気候危機を緩和するため排出量を抑制し化石燃料の使用を削減するための行動をとるよう圧力が高まっている中、出された。大量の科学的証拠が、化石燃料の使用を中心とする人間の活動が、気候変動とそれが引き起こした広範囲におよぶ、不可逆的損害の原因であると示している。
この会議は毎年異なる国が主催しているが、COP28にアラブ首長国連邦が選ばれたことは、世界中の活動家や多くの議員の怒りを買った。アラブ首長国連邦は主要な石油産出国であるだけではなく、COP28の議長にエネルギー産業の重鎮であるスルターン・アル・ジャーベルを指名した。サミット開催に自国が「理想的」だと主張するアラブ首長国連邦は、サミットをグリーンウォッシュし、議論を封じ込めようとしているとも非難されている。
2030年までに保険に加入できなくなる住宅の数は、オーストラリアだけでも52万0940軒にのぼると研究者は予測している。これは主に洪水リスクの増加による。
(forbes.com 原文)