ビッグ・ピクチャーを見失わない
──経営者として大切にしている考えを教えてください。ビッグ・ピクチャー(全体像)を見失わないようにしたいと思っています。スタートアップは目先のタスクに時間を取られがちですが、そこでビッグ・ピクチャーを見失ってしまうと「なんでこれやってるんだっけ?」って社員のモチベーションが下がってしまうんですよ。給料も高くはないし、責任外のこともやらなきゃいけないし。なので社会にどういうインパクトを与えるのか、何のためにこれをするのか。そういった疑問に、常にちゃんと強い芯を持ってなきゃいけない。
「3年後にIPOしたいから」とか「金持ちになりたいから」とかだけを目的にやっていると、後で反省することになる。また、マーケットは自分の理想とは関係なく動くので、業界や社会の動きをいち早く察知して、チャンスを戦術的に捉えることも心がけています。
──起業前のご自身の経験の中で、今につながっていることはありますか?
コンサルティングや家業を経営した経験で、 図太い神経が持てるようになったかもしれないですね。日々の仕事でトラブルが出てきたからと言ってそれで終わりだと思わずに、しぶとくロングタームを見据えて生き延びる力は、過去から学んでいると思います。
スタートアップって、最初に考えたサービスとか想定したペインポイントとか、大体市場のニーズからずれてるんですよ。実際にサービスを作り始めると「前考えてたのは間違いだった」と気づく。でもそこで頓挫してしまうと終わりだし、常に市場が正しいので、そこに合わせてピボットしていかないといけない。 だから自己否定ができないといけないんです。「言ってることが1年前と違うけれど、そういうこともある」と割り切る。変えていくことを厭わない、めげないっていうのは、すごく大事ですね。