重量が1350kg以上もあるこの強力な滑空誘導爆弾は、ウクライナ軍が駆使している小型の滑空爆弾ほどエレガントで精確ではないかもしれない。それでも、ウクライナの軍人オレクサンドル・ソロニコによれば、重たい弾薬が詰め込まれたこの爆弾はウクライナ軍部隊の間で「最大の恐怖のひとつ」になっているという。
とはいえ、ウクライナ側は壕を掘って身を隠し、爆薬を積んだ一人称視点(FPV)ドローンの装備も十分整えている。アウジーイウカへの主要な接近ルートに地雷を埋めている点も重要だ。さらに、火力支援を行う砲兵部隊は米国製やトルコ製のクラスター弾の供給も受けている。
ロシア側の攻撃はほぼ毎回、同じパターンをたどっている。ウクライナ側のドローンが上空から監視するなか、縦隊が前進してきて地雷を踏み、混乱に陥る。そしてドローンが照準を合わせて攻撃し、クラスター弾が降り注ぐ。
アウジーイウカのウクライナ軍守備隊は持ちこたえている。「(ロシア側は)攻撃を続けているが、大きな戦果は得られていない」とCITは説明している。「(ウクライナ側)はこれまでどおり防御陣地を維持し、反攻は試みていない」
ウクライナ側が反攻に出ていないという点は非常に重要だ。第2諸兵科連合軍はアウジーイウカへの攻撃を通じて、ウクライナ軍の反攻の中心となっている南部の前線からウクライナ軍の旅団を引き剥がそうとしている可能性があるからだ。
これまでのところウクライナ側はその手に乗っていない。ウクライナ軍は南部に配置している第47独立機械化旅団の一部をアウジーイウカへの増援に回したとみられるが、現在の反攻を停止してまでアウジーイウカでの戦いにより多くのリソースを割こうとはしていない。ここでの戦いはドローンや地雷、大砲で制する構えだ。
「ウクライナの防衛者たちがみせた抵抗と技量は、ロシア側が作戦で想定していたものよりもはるかに手ごわかった」とフロンテリジェンス・インサイトは解説している。
もっとも、戦いは終わっていない。第2諸兵科連合軍も増援を得ており、攻撃の手を緩めていない。CITはウクライナ側にとって「状況は依然として非常に厳しい」とも指摘している。
(forbes.com 原文)