サイエンス

2023.10.19 15:00

得をするばかりじゃない、心理学者が「美人の特権」を解説

そして2022年の研究は、傍から見て魅力に乏しく、知性に欠けていると思われている人物は、人間性にも乏しいと見られることを示した。特に魅力に乏しい女性は、知性に欠ける男性と同じく、人間性に乏しいと見られ、性差別の深さがうかがわれた。一連の性格特性の属性は、美人の特権を持つ人と持たない人たちが、本人に落ち度がないにも関わらず、違う扱いを受けるかもしれないという懸念の指標になっている。

2. キャリアにおける成功

職業の世界では、美人の特権が成功へのきっかけになることがある。魅力的な人物は、雇用され、昇進し、高給を得る可能性が高いことを研究が一貫して示している。外見に基づく自信は、彼らは自分が欲求し、ふさわしいと考える給与を追求することも可能にしている。

同様に、教室での生徒の外見が、成績に影響を及ぼすこともある。2017年の研究では、女子生徒たちの成績がオンライン授業では対面授業よりも低かった。また、2022年の研究では、対面授業がオンライン授業に切り替わった後、魅力的な女子生徒たちの成績が下がった。

このように、美人の特権は教育機関や職場に、差別や恨み不満などを助長する状況を生み出す可能性がある。特権を持つ人たちは、成功を手にするかもしれないが、そのために、人間関係さらにはメンタルヘルスを犠牲にすることさえある。

2016年の研究は、魅力的な女性たちが美人の特権の恩恵を受ける際、認知的な不協和や精神的葛藤を経験することがあることを示している。それは自らの優位性ゆえの軽蔑、敵意、共感の欠如などに直面することが、メンタルヘルスの低下を招くからだ。彼らは尊敬されることがあるのと同じくらい、同じ理由によって他人から低く評価される可能性がある。

美人の特権は、外的評価に対する過度な強調を生むことがあり、その結果、無理して体面を繕ったり、美しさからくる評価を受け続けることへのプレッシャーによって、自分の身体との間に不健全な関係をもたらす恐れがある。この特権の喪失あるいは欠如は、不適切さ、社会的比較あるいはフラストレーションをあおり、より内包的で多様な美人の定義を育くむとともに、人間の真の内面的な資質が何よりも大切であることを強調するだろう。

結論

美人の特権はその中核において、個人に対してその身体的魅力のみに基づいて、さまざまな社会的、職業的および個人的な優位性を与える。

美人の特権に関する一連の研究は、見た目だけでない多様な人間の経験を認め、価値を与えることの必要性を浮き彫りにしている。つまるところ、美人の特権がもつ二面性を理解することは、外見ではなく性格や能力に基づいて個人を評価する社会を育てていくための極めて重要な段階である。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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