今回の研究は何が違うのか?
論文の共同執筆者で、サウスウェスト研究所の惑星科学者シモーネ・マルキは電子メールによる取材に対し、今回の研究では地球の形成をシミュレーションする最先端の数値計算モデルの1つを採用し、太陽系の進化を通じて地球と月の天体衝突史がどのようになるかを推測したと述べた。このレベルの詳細な計算を、首尾一貫した、単一のシミュレーションで実行したのは今回が初めてだという。マルキによると、従来のモデルでは、月にある大型の衝突盆地の数や、それらのおよその形成年代などの一部を適切に説明することができなかった。
研究チームはどうやってシミュレーションを実行したのか。
モデル実行のための十分な統計データを得るために、米航空宇宙局(NASA)のスーパーコンピューター「プレアデス」を使用した。これが、今回の研究に大きく貢献したとボットクは述べている。
他の惑星系も同じように初期の激しい爆撃を経験したのだろうか。
問題はその期間だと、ボットクは言う。初期の爆撃は、地球上の複雑な生命の誕生を長期間妨げた可能性も、逆に興味深いニッチ(生物の生息に適した環境)を作ることにより何らかの形で生命誕生を促進した可能性もある。
だがボットクによれば、天体が衝突すると反応性ガスが生成され、初期に存在した大気中の低濃度の酸素がそのガスによって消費される。よって、地球上の酸素の量が増えたのは、初期の爆撃がほぼ終わった後だった可能性があるという。
太陽系外での生命誕生は
ボットクによると、他の恒星系にも、惑星形成中とその後に初期の爆撃の期間があった可能性が高い。太陽系にはそうした爆撃の後に生命が存在しているという事実が、他の恒星系で生命が出現する可能性があることを意味しているという。(forbes.com 原文)