2023.10.15 09:30

時代の終焉「M」史上最後の純ガソリンカーにさよなら

坂元 耕二

「マルチ・ファンクションMスポーツ・レザー・ステアリングホイール」の左右スポーク上部に「M1/M2ボタン」を配する。エンジンやダンパー、パワステ、ブレーキなどの設定を事前に登録すれば、そのセッティングを瞬時に呼び出すことができる。サーキットをアタックする時やワインディングロードを楽しみたい時には、そのM1かM2ボタンのどちらかを押せば、一段と激しい走行へのゲートがパッと開く。

M2ボタン

でも、なんと言っても、同車のハイライトはエンジンだ。M2のボンネットの下には、最新のBMW M3とM4に搭載されているツインターボ付き3.0リッター直6エンジンが収まっている。M2用にデチューンされ、最高出力は460psに「過ぎない」ものの、限定生産されたホットな先代CSバージョンをも上回るパワーを発揮する。

このエンジンは、低回転からトルキーで柔軟な反応を見せるけど、高回転域の快感に関しては、M3とほとんど差がない。しかし、Mエンジン本来の味を楽しみたいなら、ジワッとトルクが膨らむ4000rpmはキープしていたい。ここでは5速に入れたままでも、直6の太いトルクバンドに任せてほぼすべての速度でレスポンスが得られ、追い越しも楽々、クルージングも楽々だった。



さらに5000rpm以上になると、パンチ力を増して、瞬時食いつくようなレスポンスを披露してくれる。そして7200rpmに届くと、直6のサウンド天国と加速ヘブンがたまらない。古い人間というか伝統主義者の僕が言うのもナンだが、BMWのクーペには、フロントに直6、真ん中にギアレバー、そしてすべてのパワーが後輪から供給されるという、固有の正しさがある。


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