予想外の動きだったが、先月、アメリカで、フォード社はテスラ社の広範なスーパーチャージャー・ネットワークに統合するための両社提携を発表した。2025年から、フォードは次世代電気自動車に、現在北米充電規格(NACS)として知られているテスラ・プラグを採用する予定。実は、このニュースは日本にも関係している。詳細は後程、お伝えしよう。
実は昨年、北米での業界標準とするために、テスラ社は独自の充電コネクタを開放してテスラ以外のブランドにも使わせることを決定。フォードとの契約は、この後に行われた。この発表は当初、業界で懐疑的な目で見られたが、今回のフォードとの提携は、テスラの戦略が功を奏する可能性を示唆している。来年から、フォードEVのオーナーは、米国とカナダで12000基以上のテスラ・スーパーチャージャーを利用できるようになるという。
フォードがテスラの充電技術を採用したことで、EV充電の未来をめぐる戦いが劇的にエスカレートしている。これはライトニング対USB-C、VHS対ベータマックスのような標準化戦争に匹敵する戦いになぞらえられる。EVの充電が、ガソリン車の給油と同じように簡単にできるようにならないと、EVは主流にならないからだ。
そのとおり。EV環境が問題だ。ここから話が難しくなっていくだろうと思った読者もいるかもしれないけど、ここでは話を思い切りシンプルにしよう。問題は充電環境。つまり、充電の「速度」だ。どう見てもテスラは業界でダントツのリーダーになっている。同社が独自に整備している急速充電インフラである「スーパーチャージャー」は、最大出力250kWで充電ができる。
それは、どういうことかというと、スーパーチャージャーを使えば、15分で275km分のチャージができる。つまり、30分ならバッテリー容量の80%(500km弱)まで充電できる。メーカーの名前は言わないけど、日本製のEV、またはドイツ製などのEVを、日本の某カーメーカーの都内ディーラーの「急速充電器」を使っても、30分でたった80km分しか蓄電できない。なぜかというと、そういう「急速充電器」は50kWぐらいでしか充電しないからだ。つまり、テスラの5分の1の充電速度!