GSKによると、11月13日にカリフォルニア州裁判所で審理が始まる予定だった訴訟1件が、和解により解決。さらに、同州で起こされていた乳がん関連の「先導的」訴訟3件についても和解が成立した。
GSKは、和解は訴訟の長期化による世間の注目を避けることが目的であり、同社の責任を認めるものではないと強調。「他のすべてのザンタック訴訟において、事実と科学に基づいた積極的な弁護を続ける」と表明した。
潰瘍や胸やけの治療薬であるザンタックは、後に合併によってGSKとなった英グラクソが1980年代初頭に開発。「ブロックバスター」と呼ばれる年間売上高10億ドル以上の大ヒット薬の代表例となった。その後、ザンタックの有効成分であるラニチジンを使用した薬剤はヘイリオン、サノフィ、ファイザーなどの製薬大手からも発売された。
だが2019年、各国の保健当局が、製剤や原薬から発がん性物質のN-ニトロソジメチルアミン(NDMA)が検出されたと発表。これを受け、各社は自主回収を決めた。NDMAは、少量であれば安全だが、大量に摂取するとがんを引き起こす可能性がある。
製薬各社は、服用による健康被害を裏づける科学的証拠はないとしているが、同薬をめぐる訴訟が相次いだことから、製薬各社の時価総額は昨年、計300億ドル(約4兆5000億円)下落した。
GSKは6月にも、カリフォルニア州で起こされた同様の訴訟で和解。だがロイター通信によると、ザンタック関連で今も約7万9000件の訴訟に直面している。同通信は米銀行大手シティグループのアナリストの見解として、GSKが2024年第1四半期にすべての訴訟を約50億ドル(約7450億円)で解決するとの見通しを伝えている。
(forbes.com 原文)