宇宙

2023.10.12 17:00

大きく軌道が傾いた彗星が地球の「現実的脅威」となりうる理由

空の領域において、太陽の方向や黄緯(黄道面を基準とした座標系の緯度)の高い領域で彗星を探すことが重要になると、ボーリンは指摘する。これらの位置からやって来る、軌道傾斜角の大きい天体は、ありふれた風景の中に潜んでいる可能性があると、ボーリンはいう。

もし、地球と衝突する軌道上にある、軌道傾斜角の大きい彗星が発見された場合、どのようにしてその進路をそらすことができるだろうか。

現在の観測体制では、発見から地球との衝突までの時間間隔が短くなる可能性が高いため、被害抑止のための手段は極めて限られるだろうと、ボーリンはいう。NASAの「NEO(地球近傍天体)サーベイヤー」計画や、チリにあるルービン天文台などが今後観測を始めれば、この種の天体を検出してから、被害抑止手段を発動させるための警告を発するのを十分早めることが可能になるかもしれないと、ボーリンは話した。

シュライヒャーによると、ルービン天文台は、夜空全体を3夜ごとに撮像する見通しで、2024年に運用が開始される予定という。

太陽に接近するにつれて加速する彗星

彗星の地球衝突時の運動エネルギーは、小惑星の4~10倍だ。そのため、もし衝突した場合は、彗星の方が小惑星よりもはるかに破壊的になる。

進路を逸らすためのカギは、どのくらいの予兆を掴むかだと、シュライヒャーはいう。なぜなら、進路を変更する際に天体が遠くにあるほど、地球を逸れるようにするのに要するエネルギーがより少なくてすむからだ。

何か良い話はないのだろうか?

私たちが今生きている時代には、地球に衝突する可能性のある彗星を、遠く離れたところから検出するための手段がある。

シュライヒャーによれば、大半は決して実際に地球の軌道を横断したりしない一方で、ZTFのような彗星は非常に接近してくる。そのため、これほど接近するのはどのくらいの頻度かを明らかにすることが有益だという。

forbes.com 原文

翻訳=河原稔

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