自然分解しないため、海に流れ出てから自然界に残り続けてしまうことが問題となっており、2050年には魚より海洋プラスチックの量のほうが多くなるといわれている。
そんな深刻な海洋プラスチック問題だが、ある日本人が納豆を使って発明した新素材により、解決されるかもしれない。
今回は、海洋プラスチック問題の現状と、納豆を利用した問題の解決策を紹介する。
海洋プラスチック問題の現状
環境省の調査によると、世界では毎年少なくとも800万トンものプラスチックごみが海に流出しているようだ。2010年時点で、日本からも毎年2〜6万トンのプラスチックが海に流出している。
大量のプラスチックごみが海へと流出し続けた結果、現在の海洋ごみは総計で約1億5000万トンと推定されている。
海洋ごみの分解年数
私たちの出したごみが、海洋で分解されるまでにかかる時間を以下に示す。
トイレットペーパー:1カ月
ダンボール:2カ月
たばこ:10年
レジ袋:10年~20年
飲料用缶:200年
オムツ:450年
釣り針:500年
プラスチック製食器:100~1000年
引用:TUNZA: UNEP’s magazine for youth
人間が出すごみは長きにわたって海を漂っており、海洋生物に悪影響を及ぼしているのだ。
そんな中、納豆のネバネバを活用した、プラスチックの分解を早める物質が日本で発明され、注目を集めている。
納豆のネバネバ成分を利用した新物質「PGAICs」
高知大学の芦内教授は、納豆のネバネバのもととなる成分である「ポリガンマグルタミン酸」と、歯磨き粉に含まれる陽イオンを組み合わせることで、プラスチックを分解する機能を持つ新物質「PGAICs」を開発した。PGAICsを混ぜたプラスチックは、なんと海中で5年ほどで完全に分解されると研究でわかっている。
芦内教授は今年5月、PGAICsの研究や開発を行うスタートアップ「PlastiFarm(プラスティファーム)」を設立したと発表している。
従来のプラスチックは、海に流出したあと紫外線や波の力で目には見えないほどのマイクロプラスチックとなり、海洋生物の体内に入り込む。そして、人間がその海洋生物を食べることで、体内にマイクロプラスチックが入ってしまう。
海で自然分解されるプラスチックが当たり前になれば、海洋生物やそれを食べた人間が苦しむことはなくなるだろう。