1993年には日本初となる「ユネスコ世界自然遺産」に登録されるほどの自然が豊かな島だ。屋久島の森の中には、樹齢1000年以上の屋久杉も見られる。
今回は、そんな屋久島のサステナブルな取り組みを紹介していく。
水力発電で島の電力の99.6%を賄う
屋久島は鹿児島市の南方約130kmにあり、日本で最も雨が降る場所と言われている。降った雨は地面に蓄えられ、山の斜面を流れる川となり、強い水流を生む。この強い水流が持つエネルギーを使い、水力発電を行っているのだ。
島で利用される総電力の実に99.6%を水力発電で賄っている。残りの0.4%は、雨が少なくなる時期や災害時のバックアップの電源として、火力発電を整備しているようだ。
電気自動車を積極的に導入
屋久島は水力発電以外にも脱炭素に向けた取り組みを進めており、電気自動車を積極的に導入している。
水力発電による電力を用いた電気自動車で移動すれば、自動車から排出されるCO2を実質的にほぼゼロにできる。
屋久島で利用されるタクシーやレンタカーなども、電気自動車に変わりつつあるようだ。電気自動車の導入に伴い、島内には充電設備が13か所設置されている。
屋久島産木材を利用した新庁舎の建て替え
日本には国産木材の価格上昇で間伐などの手入れが届かない森林があり、問題となっている。屋久島では、島に植えられている杉の利用を見直し、「植える→使う→植える」の適切な林業のサイクルの維持を目指している。
新しい屋久島町庁舎の中にあるテーブルやイスにも屋久島産の木材が使用されている。本庁舎に訪れた際には、ぜひ腰かけて木材のぬくもりを感じてほしい。
日本における再生可能エネルギーの課題
屋久島は脱炭素の実現が見えているが、日本全体でみると、発電電力量に対しての割合は火力発電が72.9%と非常に高く、再生可能エネルギーは20.3%にとどまっている。
日本全体で再生可能エネルギーの導入が進まないのには、主に2つの課題があるからだ。