経営・戦略

2023.09.06 07:30

ポケモン宇都宮COOに聞く、Pokemon GOからの8年と世界戦略

ポケモンCOO・宇都宮崇人

ポケモンCOO・宇都宮崇人

8月11日~13日、横浜でポケモンバトルの世界大会「ポケモンワールドチャンピオンシップス2023」(以下「ポケモンWCS2023」)が開催された。

アメリカの現地法人The Pokémon Company Internationalが主催する本大会は、18回目にして初めて日本で開催。50の国・地域から2000人以上のプレイヤーが集結した。会場となったみなとみらいエリアは国内外から訪れたファンで大きな賑わいをみせ、改めてポケモンの人気ぶりがうかがえる機会となった。
 
横浜エリアを盛り上げた、ピカチュウが大行進するイベント「Pikachu Gathering!!」

ゲーム、アニメ、グッズなど、「ポケモン」というひとつのブランドでさまざまなエンターテインメントを展開しているポケモン社。その人気は衰えを知らず、2023年2月期の決算では、新作ゲームやカードゲームなどの好調により、売上高は2345億2800万円(前期比14.8%増)と過去最高業績を更新した。

同社の最高執行責任者(COO)を務めるのが宇都宮崇人。2016年にリリースし世界中で社会現象を起こした「Pokémon GO」や、今年7月にリリースした「Pokémon Sleep」の開発にも携わり、近年の同社の成長を支えてきた人物だ。

そんな宇都宮に「ポケモンWCS2023」の会場で、世界が熱狂する“ポケモンビジネス”の現在地と展望を聞いた。



——ポケモン社の近年の好調の要因を、どう見ていますか。

ポケモンは、僕が入社した2005年当時から「自分たちが面白いと思うことをやる」というスタンスを持ち続けています。COOである僕自身、経済的なインパクトや短期的な売上はあまり考えないようにしています。ですので、面白いことをやっていたら結果的に数字がついてきた、ということかなと思っています。

ただ、好調の大きな要因のひとつに、長年のファンの存在はあると思います。1996年に任天堂から発売されたゲームボーイ用ロールプレイングゲーム「ポケットモンスター 赤・緑」から遊んでいた世代の多くが、25年以上経た今もポケモンを好きでいてくれているんです。

当時子どもだった方が大人になり、親子2世代でポケモンを楽しむお客さまも増えています。例えば、小さなお子さんにとって「ポケモンカードゲーム」のルールを覚えることは難しい。当社としてはそれがネックになっていたのですが、保護者の方がルールをご存知なので、お子さんに教えながら遊んでくださっています。

「ポケモンWCS2023」でポケモンカードゲームをプレイする参加者たち

そうやって多くのファンの方々が味方になってくれているのは、ありがたいですね。

「ポケモン」が世界の共通言語に

——多くの人に愛されているポケモンですが、宇都宮さんはポケモンのどういった点に強みがあると考えますか。

本当に現実世界に生息していそうなリアリティを備えたポケモンが、1000種類以上もいることです。そして、ポケモンを集める・交換する・対戦するなど、グローバルに通用するシンプルな遊びであることでしょうか。

今は、「子どものときにポケモンが好きでした、今も好きです」という人が世界中にいて、共通言語になっているのも強みですね。
次ページ > ポケモン好きを大人が公言できるように

文=堤美佳子 編集=田中友梨

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事