経営・戦略

2023.10.09 12:30

レアなものを貸してお互いに潤う、〇〇外交

Forbes JAPAN編集部
そしてつい先月、生まれたのが「味噌外交」だ。発端は3年前、オランダのアーティストが「17世紀に日本とオランダの交流が始まったのに、なぜ味噌がもち込まれなかったのか」を疑問に思い、オランダの大豆で味噌をつくり始めた。その味噌を国内外1000人に贈り、仲間のプラットフォームをつくることが彼の構想。

贈るという事実によってプラットフォームを共有した仲間であること自体が価値あることなのだ。人のみならず、動物、植物、菌などより多くの存在とより良い関係をつくるキッカケになると彼は考えている。

それに先立ち、まずは味噌のふるさとである日本との「味噌外交」として、日本とオランダの味噌同士の同盟を結ぶ「結婚式」が、熊本市にある味噌天神で行われた。昔からある日本の合わせ味噌の文化を発展させ違う国同士の味噌を混ぜることで、新しいネットワークをつくるという外交だ。

ビジネスに応用する3つのルール

この「〇〇外交」を、ビジネスの世界に応用するとしたら。個人同士や組織同士、企業同士の間でできる外交もたくさんあるはずだ。例えば、レアな知恵を貸す「ノウハウ外交」や、異業種のレアな人を貸す「ネットワーク外交」など。

ビジネスにおいて「〇〇外交」を成功させるためのルールは3つ。

1.外交は相手ありき。巻き込みたい相手を見つけよう。異なる分野でもOK。

2.その相手に何を貸すとお互いに潤うかを見つけよう。相手にとって「レア」なものでないといけない。

3.相手にその「レア」なものを貸してみよう。根付くのをじっくり待つ。お互いに潤い始めたら成功だ!

相手に何かを贈る手法は、数千年前から幾度も使われてきた。今年の残暑見舞いは、目に見えないデジタルなもの、多様性にまつわるもの、自分のスキルやノウハウなど、今までにない21世紀らしい何かを贈ってみてはいかがだろうか。


キリーロバ・ナージャ◎電通Bチーム世界の教育担当。クリエーティブ・ディレクター。ロシア、日本、イギリス、フランス、アメリカ、カナダの各国の現地校で教育を受けた。著書に『6カ国転校生 ナージャの発見』などがある。

電通Bチーム◎2014年に秘密裏に始まった知る人ぞ知るクリエーティブチーム。社内外の特任リサーチャー50人が自分のB面を活用し、1人1ジャンルを常にリサーチ。社会を変える各種プロジェクトのみを支援している。平均年齢36歳。合言葉は「好奇心ファースト」。

本連載で発表しているすべてのコンセプトは、実際にビジネスに取り入れられるよう、講演や研修、ワークショップとしても提供しています。ご興味ある企業の方は、Forbes JAPAN編集部までお問い合わせください。

文=キリーロバ・ナージャ イラストレーション=尾黒ケンジ

この記事は 「Forbes JAPAN 2023年10月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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