食&酒

2023.10.08

インドでワイン消費量が増加、愛好者は1000万人

Getty Images

インドでワインの消費量が増えていると聞いて驚く人もいるかもしれない。実際、最近の統計によると、定期的にワインを飲むインド人は現在1000万人おり、2022年だけをとってみてもワインの消費率は29%上昇した。さらに、インドのワイン市場についての定期出版物インディア・ワイン・インサイダー(IWI)のレポートによると、インドのワイン市場規模は現在、2億3800万ドル(約350億円)と推定されている。

そして、この業界のことを熟知しているのが、英マスター・オブ・ワイン協会が認定する資格「マスター・オブ・ワイン」をインドで初めて取得したソナル・C・ホランドだ。ソナルはインドでソナル・ホランド・ワイン・アカデミーというワインアカデミーを設立し、成功を収めている。

「インドで初、かつ唯一のマスター・オブ・ワインになったことで、ワインと国際的なワイン市場に関する知識や理解を生かして、世界の標準に沿った事業をインドで立ち上げる機会を得た。世界第3位のアルコール飲料市場であるインドで、そして世界で最も急成長しているこの国のワイン業界で、先駆的な仕事をたくさんしてきたことに感激している」とソナルは語った。

ソナルはソーシャルメディアでもワイン通として知られている。さまざまなソーシャルメディアプラットフォームでのフォロワーは計50万人だ。ソナルはソーシャルメディアでワインをわかりやすく説明し、インドの消費者にワイン文化やエチケットを紹介することで、ワインをより親しみやすいものにしている。加えて、ソーホーワイン・コンサルティングという会社を経営している。同社はワインメーカーがインドに進出して確固たる足場を築くのを支援しつつ、インドの消費者に世界のワイン文化を楽しむ機会を提供している。

インドに輸入されるワイン

ワインの消費が増え、またワインに関する知識が浸透するのにともない、インドではワインの輸入も増加している。これには、アルコールの輸入に対する物品税が2021年に300%から150%へと半分に引き下げられたことが部分的に寄与している。オーストラリアのように、インドと経済協力・貿易協定を結んでいる国もあり、協定ではワインの輸入税が150%から75%へと大幅に引き下げられ、これによりワインがお手頃価格になっている。

ソナルによると、インドへのワイン輸出が多い上位4カ国はオーストラリア、チリ、イタリアそしてフランスだ。「しかし米国など他の国々のワインは、競争力のある価格戦略や、インドの消費者にブランドを知ってもらい、ファンになってもらうための体験型のマーケティングの取り組みにより、今後数年で人気を集める可能性が高い」とソナルは指摘する。
次ページ > 増えるインドのワイナリー

翻訳=溝口慈子

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事