FT紙によると、カナダはインドに62人前後の外交官を駐在させており、インド政府はそのうち41人について、今月10日までの退去を求めている。退去期限を過ぎた場合、外交特権を剥奪すると警告しているという。
インド紙ヒンドゥスタン・タイムズも、退去を求める外交官の数をインド外務省が決定し、カナダ側に伝えたと報じた。インドが退去を要求している41人の外交官が無作為に選ばれたのか、あるいは特定の理由によるものなのかは不明。
インド政府は先月、カナダ政府に対し、互いの国に置く外交官の「階級や人数を同等にする」必要があると通達していた。ある当局者はヒンドゥスタン・タイムズに、インドにいるカナダの外交官の数はカナダにいるインドの外交官よりも「はるかに多い」と語っている。
カナダが退去期限を守るかどうかは不明だ。インド政府が警告通り、カナダ外交官から外交特権を剥奪した場合、より大きな国際問題に発展する恐れがある。
カナダ西部ブリティッシュコロンビア州サリーで起きた6月の事件では、シーク教徒の指導者でカナダ国籍のハーディープ・シン・ニジャールが武装集団の銃撃を受け殺害された。インド生まれのニジャールは、同国から分離独立してシーク教徒の国をつくろうとする「カリスタン運動」を支持していたため、インド政府から「テロリスト」に指定されていた。
カナダのジャスティン・トルドー首相は先月、同国議会で、事件に「インド政府の工作員」が関与したとの「信じるに足る疑惑」をめぐる捜査が行われていると表明。インドは殺害への関与を否定し、カナダの主張は「不合理」であり、何らかの動機に基づいていると批判している。
事件は両国間の外交問題に発展。インドはカナダ国民向けの査証(ビザ)発給手続きを停止した。
(forbes.com 原文)