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2023.10.05 17:30

小売業の「グリーン革命」とは。5つのテクノロジーを紹介

田中友梨

クラウドコンピューティング・プラットフォーム

クラウドコンピューティング・プラットフォームは、効率的なオンデマンド・コンピューティングを実現し、小売企業がサプライチェーン管理を合理化し、よりサステナブルなオペレーションを実現できるよう、以下のような数多くのツールや機能を提供します:

・ロジスティクスと需要予測を最適化し、サプライチェーンの非効率性を迅速に特定して対処するためのリアルタイムのデータと分析。

・AIと機械学習ツールにより、作業を自動化することで手作業の負担を軽減し、業務効率を高めるとともに、エネルギー消費量を削減する。また、データ分析とAIを利用してリサイクル可能な包装に最適化することで、廃棄物削減に貢献することができる。

・サプライチェーンの可視性を高め、コミュニケーションを合理化し、迅速な意思決定を促進するコラボレーションツールとしても活用できる。小売企業は、サプライヤーとより緊密に連携して倫理的でサステナブルな素材を調達し、製品の環境への負荷を軽減することができる。

クラウドコンピューティングは、データ主導の意思決定、自動化、コラボレーションの強化を通じて効率を高める点で、EnCOREフレームワークの「オペレーションの最適化」要素に合致します。また、このテクノロジーを活用することで、サステナビリティ報告のためのリアルタイムのデータを提供し、ステークホルダーにその実践を開示することで、「卓越した報告とコミュニケーション」の要素を満たすことができます。

一方で、クラウドコンピューティング・プラットフォームは、大量のデータを保存するデータセンターに電力を供給するための多くのエネルギー消費を必要とします。そのため、それに対抗するため、多くのクラウドセンターでは大型の太陽光アレイを設置したり、データセンターに隣接して太陽光発電所を建設したりして、よりクリーンなエネルギーで電力を供給しています。

・Google Cloudは、冷却の際に外気を使用し、エネルギー使用量を測定および改善し、電力使用効率を測定する包括的なアプローチをとっているため(PUE:コンピューター・データセンターがエネルギーをどれだけ効率的に使用しているかを示す比率)、同社のデータセンターは一般的な企業データセンターよりも2倍効率的だとしています。

・Microsoftは、2030年までにカーボンマイナスとウォータープラスになることを目標に掲げ、2050年までに、1975年の創業以来、直接または電気消費によって排出したすべての炭素を環境から除去することを目指しています。同社は、シカゴにサーキュラーセンターを開設し、廃棄されるクラウドサーバーやハードウェアを再利用するための処理を行う計画で、毎年最大14万4000台のサーバーを再利用しています。

Microsoft Cloud for Sustainabilityは、よりサステナブルなITインフラを構築し、事業が環境に与える影響を低減し、環境に配慮したバリューチェーンを構築できるよう設計された、一連のツールやサービスを通じて、小売企業を支援するプラットフォームです。

このプラットフォームは、二酸化炭素排出量、水使用量、廃棄物発生量、エネルギー消費量など、サステナビリティに関連するデータを測定・分析するためのツールを備えており、過去の傾向分析やリアルタイムの洞察により、非効率性を迅速に特定し、対策を講じることができます。
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文=RxR Innovation Initiative

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