ただ研究チームは、今回の研究の不足部分として、対象とした人に多様性が不足していたことを認めている。大多数は白人女性で、研究開始時の年齢は42~62歳だった。チャン教授は「より多様な集団」を対象とした追加研究が必要だと述べている。またこの研究は、うつ病と超加工食品との関連性のみを調べたものであり、関連性が生じている理由については分析していない。
チャン教授はこの点について、腸内フローラ(細菌叢)が何らかの役割を果たしているとみている。最近の研究では、腸内に生息する無数の細菌が肥満や糖尿病、アレルギー、炎症性腸疾患、認知機能障害など、さまざまな疾患と関連していることがわかっており、糞便移植などで腸内フローラを変化させる新たな治療法が確立されてきている。「食生活が腸内フローラの変化と関連していることと、腸内フローラがうつ病に関与していることがわかっているため、私たちはこの2つを結びつける研究に取り組んでいる」とチャン教授は語った。
チャン教授によると、ある要因がうつ病のリスクに影響を及ぼすかどうかを特定するのは難しい。特定の食生活がうつ病に影響を及ぼすのではなく、うつ病の人が特定の食生活をする傾向があるだけかもしれない。これは「典型的な『鶏が先か卵が先か』の問題」であり、今回の研究ではこれらの要因を考慮することで、食生活がうつ病発症の要因であることを特定しようと試みたとチャン教授は語った。
(forbes.com 原文)