アジア

2023.09.20 09:30

存亡の危機に立つ「中国モデル」 対応誤れば共産党の正統性危うく

習近平はテクノロジー部門に対する締め付けを強化し、中国経済を損なった。中国の規制当局は2020年後半以降、アリババ集団創業者の馬雲(ジャック・マー)をはじめ、中国の著名なイノベーターたちに誰がボスなのかをあらためて示した。だがその過程で、1年足らずで中国のハイテク株の時価総額を1兆ドル(約148兆円)以上失わせた。

また、中国の景気刺激策が効きにくくなってきていることも問題だ。簡単に言えば、中国は過去30年、大規模なインフラブームにあまりにも頻繁に頼りすぎた。薬やステロイド剤の場合と同じように、景気のてこ入れで同じ手を繰り返してきた結果、患者を安定化させられるほどの効果が出なくなっているのだ。融資平台のものを含め中国の債務は、世界にとってもむしろ逆風になりつつある。

さらに、人口動態のひずみも顕著になっている。中国でも高齢化が進むにつれて、国民を脅かすデフレ圧力がさらに根づいていくおそれがある。共産党政権は、家計が貯蓄を減らして支出を増やすのを後押しするような、社会的なセーフティーネット(安全網)の拡大が遅れている。

こうしたもろもろが重なり合って、2023年は習近平指導部にとって嫌な年になるに違いない。中国は向こう1年、基本的には世界経済の牽引(けんいん)役から外れることにもなるだろう。

中国の不調が続くなか、日本の成長も鈍化し、欧州の景気も足踏みしている。米国はリセッションこそ避けられるかもしれないが、連邦準備制度理事会(FRB)による1年5カ月にわたる金融引き締めの影響に苦しんでいる。

中国経済が崩壊しようがしまいが、中国の成長が緩やかなものにシフトダウンすることは、国内での習近平の地位にとっても、そして世界経済にとっても、歓迎できないニュースだということだ。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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