インスタコードプラスは、開発者のゆーいち氏(永田雄一氏・48歳)が代表を務める、社員1名のInstaChord社が開発した、だれでも弾ける新しい楽器だ。
同社はひとりメーカーならではのメリットを生かした独自の経営方針で業績を伸ばしているが、開発過程で行政や銀行の支援を受けられず、ユーザーの支持を得ながら「ギリギリの状況」で製品化を達成したという。
世界が認めた4つの「革新的」ポイント
では、このインスタコードとは一体どんな電子楽器で、どのようなポイントが高く評価されているのだろうか? そこには4つのポイントがあるという。1)挫折知らずで、上級者も飽きない
インスタコードは国際特許を取得した独自の操作方法で、他の楽器に挫折した人でも、たった5分でピアノやギターのように弾き語りできる、新しい楽器だ。初心者向け楽器は、習得してしまうとすぐ飽きてしまうものも多いが、インスタコードには様々な高度な演奏テクニックも用意されており、技術に上限がない。
2)楽譜が無料で手に入る
インスタコードでは、ジャズやカントリーで広く使われている「コード記号を数字に置き換えた」楽譜を使う。専用アプリを使えば、懐かしい歌謡曲から最新のJ-POPまで10万曲以上、海外の楽曲も含めると100万曲以上の楽譜を、インターネットから無料で手に入れることができる。また、歌本などの紙のコード譜も、アプリで数字に置き換えることができる。
3)音楽理論が自然に身につく
専門学校などで音楽理論を学ぶ際、多くの人が挫折するのが「キーと度数」という概念だ。従来の楽器ではこの概念を習得しにくいが、インスタコードはこの概念に基づいて作られているため、弾いているうちに作曲やコード進行の学習に必要な音楽理論が身につく。
4)あらゆる楽器になる楽器
そして、ギター、ピアノ、ベース、ドラム、バイオリンなど、あらゆる楽器のパートを演奏できる「オールインワンの電子楽器」なのだ。楽器を弾けないミュージシャンが開発
インスタコードは、ボーカリストで作曲家のゆーいちが「挫折しない本格的な楽器」「音楽理論が身につく楽器」を目指し、2018年に構想を開始した。開発メンバー集めや資金繰りなど、様々な苦労があったが、2020年にクラウドファンディングで7900万円の予約注文を集めて、構想開始から3年、2021年にインターネット限定で販売を開始した。
初回ロットの4000台は発売から半年で完売し、翌2022年、改良モデル「インスタコードプラス」を全国の楽器店で発売。今年3月には、アイワにライセンス提供した初心者モデル「aiwa play RX01」が発売された。
また今回のMIDI Innovation Awardだけでなく、春にもドイツの世界的なデザイン賞「iF Design Award」を受賞しており、世界からも注目を浴びている。