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2023.09.17 10:00

離婚最多は30代、子持ち層も。「関係更新」準備に賢者の1冊

itakayuki / Getty Images

『夫婦1セットモデル』からの脱却を

誰にとっても必要な知識である離婚準備情報が、『プレ・シングルマザー手帖』という名前で母親向けに出されているのは、未成年の子供がいる夫婦の離婚の中で、離婚後に母親が親権者となるケースが88.5%(2021年の人口動態調査より)だからだろう。
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田中さんは、離婚にまつわる状況について、「今もまだ、離婚すると女性側が痛いという状態にある」と言う。

離婚において女性が弱い立場に陥りがちだというのは、離婚経験者の筆者にも実感を伴った経験がある。離婚を初めて意識したときは、「幼児を抱えたシングルマザー」という言葉のイメージがあまりに重く、窒息しそうな気持ちになったし、離婚時、元夫よりも年収が低かった私は、元夫なら問題なかったマンションの賃貸契約が、自分名義では締結できず、住む場所を失う危機に陥った。「新卒から真面目に働いてきて、育休産休以外は長期で休んだこともなかったのに」と思うと情けなく、自分は無価値であるように感じた。

この状況を解消するには、どうすればよいのだろうか。
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田中さんの言葉はこう続く。

「昭和の高度経済成長期の『夫婦1セットモデル』からの脱却が必要です。このモデルは家庭内でうまくいっている時は良いですが、うまくいかなくなったら、本当に地獄です。お金は力なので、それが支配のツールに使われてしまいます。自分が自由に使えるお金がないとお金を多く稼いでいる相手に自分の人生を乗っ取られてしまいます。多くの場合、女性側の収入が少ないので、女性側が自分の人生を生きることが難しい状況が生まれてしまうわけです。

脱却のためには、仕組みのアップデートと、意識のアップデートの両方が必要です。

仕組みの面では、『二人で一つの家庭を作る』という人生モデルは捨て、「個人が基本』という前提で設計し、世帯単位ではなく個人単位の社会保障を実現していく必要があります。

また、妊娠出産によるキャリアの断絶や男女の収入格差を解消するための働く仕組みも必要です。意識のアップデートは、『自分の人生の手綱は自分で持つ』『自分のケアは自分でする』『パートナーにすべてをゆだねない』『パートナーと境界線を持つ』という、『個人が基本』というマインドを育てることです。それは『社会は自分たちの手で、自分たちの行動で変えられる』というマインドにリセットすることと同義です。社会は『誰かの意思によって作られたもの』なので、『私たちのありたい未来に私たちは社会を変えることができる』という前提に立つことが大事だと考えます」
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文=南部彩子 編集=石井節子

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