リワードローブ取締役であり、自身も30代で離婚を経験したシングルマザーである南部彩子氏に本書と本書を取り巻く状況を以下、ご解説いただいた。
「未成年の子供あり」の離婚は全体の60%弱
2022年9月に政府が公開した人口動態調査によると、2021年(令和3年)の離婚件数は18万4384組、年代は30代前半が多く、同居期間で一番多いのは5~10年、離婚件数に占める未成年の子供ありのケースは57.1%。熟年離婚が増えている、子供がいると離婚しにくい、などのイメージがあるが、それも事実でありながら、統計上、離婚する人の中で見ると「結婚数年で子供がいる30代」が一番多いのだ。
「結婚数年で子供がいる30代」
この文字列からは、未来があって、明るく、幸せなイメージすら湧いてくる。
当たり前だが、離婚を見据えて結婚する人はいない。離婚する誰にとっても「自分が離婚するなんて思いもしなかった」という、人生プランになかった出来事だ。
想像してみて欲しい。
「結婚数年で子供がいる30代」で、未来は今の人生の延長にあると思っていて、離婚なんてどこか他人事と思っていた自分が、離婚の当事者となる。
離婚に向けて同じ理解とモチベーションで進んでいく夫婦は極めて稀だろう、どちらかが離婚を決意することで、離婚に向けた具体的なプロセスがスタートする。決意するのが夫な場合も、妻な場合も、即決な場合も、ずっと悩んで決める場合も、様々だ。
離婚を求められる側の胸の内は、「寝耳に水」から「やっぱりそうか」まで、こちらも様々。
混乱、憤り、悲しみ、怒り、不安、あらゆる感情が溢れ返り、相手が何を思っているのか、何を考えているのか、「自分が一緒に暮らしていた相手は異星人なのか?」などと思うほど分からなくなり、疑心暗鬼、暗雲低迷、悲傷憔悴。
そこから、何が起こるかご存知だろうか。
「離婚 子供」「離婚 お金」など、思いつくワードで検索して情報収集しようとするかもしれない。
前後を含む離婚プロセスは、調停や裁判があることくらいは知っているが、全体像はほとんど知られておらず、当事者になって初めて「何を見て、どこに相談すればいいかも分からない」となりやすい。