経営・戦略

2023.09.13 09:30

あなたの会社は大丈夫? 中小企業の「SDGs実践」ヒント

ラーニングエッジ代表取締役 清水康一朗

このように大手企業は、こぞってSDGsの取り組みに各社しのぎを削っています。社会全体に広がってきている感があります。ところが、残念なことに、社会の90%以上を占める中小企業では、まわりを見渡してもよい事例が見つからないのです。なかなか腰が上がらないのが現状にあるのは、なぜなのでしょうか?
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それは、大手企業ほど基礎研究や本業以外の活動に投資する体力が残っていないから。しかしながら、私は、「中小企業こそSDGsをできるところから実践していくのが大切」だと考えてます。世の中の多くが中小企業であり、この中小企業が意識的にSDGsに取り組めば、これからの社会が変わっていくのではないでしょうか?

ただ、新しいプロジェクトへの投資ができない、忙しくてゆとりがない、というのであれば、まずは「教育」から始めてみるのもよいのではないでしょうか?しかも、自社の商品やサービスに関連する教育であれば、未来の見込顧客への種まきにもなりますから、経営者にとっても取り組む意思決定をしやすいはずです。

たとえば、飲食店や食材を扱う会社であれば、SDGsの中から、「2. 飢餓をゼロ」「3. すべての人に健康と福祉を」を意識して「食に関するSDGsセミナー」を開催する。雑貨屋やインテリア、家具などを扱っているのであれば、「11. 住み続けられるまちづくりを」「12. つくる責任、つかう責任」を意識して「住まいのSDGsシンポジウム」を開催する。
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このような「教育」プログラムであれば、中小企業にとっても実施しやすく、コストや労力も少ないので開催しやすいだけではなく、長い目で考えれば、効果的なプロモーションとも考えられます。

もちろん、「SDGsウォッシュ」のような見せかけのSDGsや、プロモーションありきの施策ではいけませんが、社会のサステナビリティを高める貢献をするという本質に基づいて、未来の購買力を支えていく若い世代や子供にターゲットを向けて、「教育」という観点でのSDGsを推進していくのも、中小企業が着手しやすいひとつの手だと考えています。

長年、私が推奨している「三方よし」のビジネス哲学である「絆徳経営(ばんとくけいえい)」には、「きれいごとこそが経済効率を生む時代になった」という考え方があります。これは、SDGsの基本的なセオリーと一致するものです。この「絆と徳」をベースとした経営セミナーという「教育」によって、社会にその考え方を広く普及させることが、私の社会的使命と思っています。

皆さまも、自社の商品やサービスを通じて価値を届けることに加えて、「教育」を通じて、社会のサステナビリティ向上に取り組んでみませんか?まずは、アンテナを張って、自分にできることから考えていきませんか?

金額の多い少ないではなく、行動に起こすことが何より大事だと思うのです。このように、個人や企業の意識レベルの積み重ねが、2030年までの17のゴールと169のターゲットから成る国連が定めた国際目標の達成につながり、世界がよりよい場所になっていくことを願ってやみません。

文=中村麻美

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