見せかけの「SDGsウォッシング」と、インドで感じたこと
一方で、近年問題になっている「SDGsウォッシング」というワードをご存知でしょうか? 国連が定める17の持続可能な開発目標(SDGs)に取り組んでいるように見せかけ、実態が伴っていないビジネスを揶揄する言葉です。世界中で1400を超える企業をリサーチしたイギリスのリサーチ&カンファレンスの大手であるEthical Corporationのリポートによると、1400企業の2/3以上が「自社は、SDGsを事業戦略に入れている」と発表していましたが、蓋を開けてみると、本当に実践していたのは、わずか12%という結果になったそうです。
つまり、SGDsをビジネスとして全面に出していただけ、という事実が判明したのです。
個人的な体験で言えば、ある会社のビジネスセミナーに参加したときに「清水さん、SDGsって儲かりますか?」と質問された経営者の一言が忘れられません。これは、明らかにSDGsの本質を間違ってとらえている事例と言えます。
先日、インドでの山奥での修行を終えて帰国したのですが、2週間滞在したことで、改めてインドの現実を見る機会を得ました。貧富の差が激しいと言われるインドですが、自宅内にトイレがない家庭が半分以上(2011年のインド国勢調査によると、戸別トイレの普及率は46.9パーセント、野外排泄人口は5.9億人と世界最多)。
また、都心部とは状況が違いますが、地方に行けば、感覚的に2~3割以上の人が靴やサンダルも履かず裸足の生活です。もちろん幸せの定義は色々あって、トイレがなく、裸足の生活が不幸かというとそうではありません。が、衛生面や健康面を考えると、現実的に問題は大きい。現地の子ども達が命を失う原因としては、けがや大きな病気などよりも単純な下痢の方が多いのです。日本でも富裕層と貧困家庭が問題として取り上げられ、格差社会と言われていますが、インドの貧困とは雲泥の差です。
「SDGsウォッシング」が取り沙汰される一方で、世界には、このような現実が存在している。そこで、今後は、「グローバルな視点にたち、地に足の着いたリアルなSDGsの実現を意識しないといけない」、「世界をよりよい場所にできるために本質的に何ができるか」と、改めて考えるきっかけになりました。
中小企業もできる!教育や意識づけへと広がるSDGsの可能性
「ベネッセ」は、ラテン語の「よく」と「生きる」を組み合わせた造語で、まさにウェルビーイングを社名にした会社ですが、Z世代に向けたワークショップを運営し、SDGsを掘り下げる活動を積極的に行なっています。手に取れるような具体的な商品そのものでなく、人々の思考に訴えかける「教育」を長期的スタンスでSDGsに活かす発想力に「その手があったか!」と膝を打った経営者の方も多いことでしょう。同様に、サステナビリティ教育を積極的に推進している「UCC」は、オンラインセミナーと学校への教材提供を行なっています。オンラインセミナーは、小学生から大学生までが対象。SDGsをテーマにした講座を受講でき、昨年は2500人が利用した実績を持っています。