スポーツ

2023.09.05 10:00

日大アメフト部薬物問題、「4人」報道でスタンフォード大コーチはこう憂う

David Madison (Getty Images)

実はその発表をみた瞬間にこんな邪推をしてしまった。「関東学連は知っている、日大が何かを隠している、いやそこまでは言わずも、表に出てきていない情報がある」。
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狭い業界である、日大のような上位校にいる選手とその父兄は、中学・高校の時からつながっている。噂話も含めて情報は筒抜けである。そして関東学連にも、このきな臭い話が始まった時から、その情報は入っていたはずである。

その訝し気な雰囲気の中に、薄っぺらい根拠の出場申請が来ても、認めることは難しいであろう。連帯責任撲滅運動を展開する筆者でさえ、学校側の対応が不誠実であると感じてしまうかもしれない。しかも同大の澤田康広副学長は「元検事」である。学校を代表するうちの一人が疑惑を追及していくことのプロであるとくれば、組織的に隠ぺいを図っているという疑義は深まるばかりである。

「活動停止から一転……」
「無期限の処分決定からわずか5日で……」
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個人的な考えの域を出ないが、このようなメディアの論調を見ると、ことの本質は日大の対応や体質を責めるということだと感じる。しかし、前回論じた、「スポーツ界が受けてきた負のベネフィット」が背景にあるため、矛先はふとしたことで、日大そのものからいつの間にか、「アメフト部員が……」とか「運動部所属の学生が」という方向へ進んでしまうのだ。

何度も言うが、「本丸」を責めたいのであれば、関係のないアスリートが多大な被害を被る活動停止のような連帯責任は、絶対に避けていただきたい。またメディアやこの記事の読者の方々、多くの人にこのトラブルの本質を理解して欲しい。坊主憎けりゃ「坊主だけ」を憎んで欲しいのだ。

厚さ20cmの鉄板でも、「20階の高さ」だったら?

筆者の社会人アメフト時代のアメリカ人指導者の1人は、モルモン教徒であった。彼は他の素晴らしいリーダーや経営者達がそうであるように、チームの前でのスピーチが抜群にうまかった。彼のスピーチの内容の特徴は、随所に宗教色が強い内容の具体例が出てくるところである。その一つを皆様にシェアしたい。
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文=河田剛 編集=石井節子

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