狭い業界である、日大のような上位校にいる選手とその父兄は、中学・高校の時からつながっている。噂話も含めて情報は筒抜けである。そして関東学連にも、このきな臭い話が始まった時から、その情報は入っていたはずである。
その訝し気な雰囲気の中に、薄っぺらい根拠の出場申請が来ても、認めることは難しいであろう。連帯責任撲滅運動を展開する筆者でさえ、学校側の対応が不誠実であると感じてしまうかもしれない。しかも同大の澤田康広副学長は「元検事」である。学校を代表するうちの一人が疑惑を追及していくことのプロであるとくれば、組織的に隠ぺいを図っているという疑義は深まるばかりである。
「活動停止から一転……」
「無期限の処分決定からわずか5日で……」
個人的な考えの域を出ないが、このようなメディアの論調を見ると、ことの本質は日大の対応や体質を責めるということだと感じる。しかし、前回論じた、「スポーツ界が受けてきた負のベネフィット」が背景にあるため、矛先はふとしたことで、日大そのものからいつの間にか、「アメフト部員が……」とか「運動部所属の学生が」という方向へ進んでしまうのだ。
何度も言うが、「本丸」を責めたいのであれば、関係のないアスリートが多大な被害を被る活動停止のような連帯責任は、絶対に避けていただきたい。またメディアやこの記事の読者の方々、多くの人にこのトラブルの本質を理解して欲しい。坊主憎けりゃ「坊主だけ」を憎んで欲しいのだ。