スポーツ

2023.09.05 10:00

日大アメフト部薬物問題、「4人」報道でスタンフォード大コーチはこう憂う

David Madison (Getty Images)

目の前の地面に50cmの幅、20㎝の厚さ、10mの長さの鉄の板が置かれている。まあまあ頑丈な板である。人間は、目の前の地面にそれが置かれていれば、簡単に渡ることができる。でも、それがビルの20階の高さに2つの建物に渡されていたらどうだろう? 簡単に渡れる人は多くないだろう。それが同じ仕様の板であるにも関わらず。
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彼が言いたいのは「周りの状況に左右されずに物事の本質にフォーカスしなさい、本当にやりたいことや、物事の本質を見抜きなさい」であると筆者は理解している。

筆者の自論の押し付けが過ぎるのかもしれないが、関係者にもメディア諸氏にも、そしてこの問題を見守る読者諸氏にもぜひ、整理をして頂きたい。この日大の一件で責められるべき、罰せられるべきは、誰のどういう行動・言動なのであろうか。

アメリカ人がうまいのは──?

友人やスタンフォードを訪ねて来てくれる人たちによく聞かれる質問がある。「アメリカ人と日本人の一番大きな違いは?」。

筆者は迷わず答える。スポーツにおいても、ビジネスにおいても、優先順位のつけ方のうまさである。
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一般論だが、日本人は複数のことに同時に、「優先順位の上位」を与えてしまう。対してアメリカ人は素早い判断で──いや、それどころかほぼ脊髄反射に近い処理スピードで優先順位が高いものから処理や活動を始める。日本人が、「アメリカ人はいい加減だ」と感じてしまう瞬間があるのは、そういう理由にほかならない。周りの状況に左右されず、本質を見抜く力とスピードが優れている、と表現することもできるだろう。

今回の件に関して言えば、賢明なる読者諸氏にも、メディアや周りの言うことに流されず、本質を見極めるという目線を持ってみていただきたい。そして、責められるべき者が、世間やメディアの追及に対する緩衝材として、何の罪もない若者達の努力をゼロにするような不幸な結果に辿り着くことがないように、世論の一つとしてご協力いただきたい。

読者の皆さんの「本質を見極める力」の総和が、若者の将来を救うことになることを願うばかりである。

文=河田剛 編集=石井節子

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