ただ、米食品医薬品局は早産の発生率について、アブリスボを接種した人で5.7%、プラセボ(偽薬)を使用した人で4.7%と、わずかながら違いがあったことを指摘している。そのため医療機関に対し、接種対象者を妊娠32週から36週に制限し、早産のリスクが高い人には接種をしないよう注意を促している。
米国でのアブリスボの接種の開始時期は、米疾病対策センターの専門家委員会が行う評価の結果を待って、決定される見通しだ。
妊婦が接種を受けることで新生児のリスクを低減できる感染症にはそのほか、インフルエンザ、ジフテリア、破傷風、百日咳がある。
・高齢者
米食品医薬品局は5月、60歳以上を接種対象とする2種類のRSVワクチンを承認した。臨床試験の結果では、接種後の最初の流行シーズンにおいてLRTDの発症を防ぐ効果は、ファイザーのアブリスボが89%、英グラクソ・スミスクライン(GSK)のワクチン「Arexvy(アレックスビー)」が83%だった。これら2種類のワクチンの一般的な副反応として知られているのは、倦怠感、発熱、接種した部位の痛みなど。また、いずれかの接種を受けた約3万8000人のうち、接種から数週間以内に、20人に心房細動、6人に脳脊髄炎やギラン・バレー症候群などの神経系の合併症が起きたことが報告されている。
ワクチンの効果の持続期間は約8カ月間で、インフルエンザワクチンと同時に接種しても、安全だとされている。
(forbes.com 原文)