ナイジェリアはアフリカ最大の経済大国だ。人口は2億2000万人を超え、スタートアップによる資金調達額はアフリカ大陸でトップとなっている。同国では、金融取引の大部分が現金で行われており、フィンテック関連のソリューションが次々と開発されている。
「現在、ナイジェリアでは不安定な状況が続いており、自国通貨のナイラで収益を得て、米ドルで業績を報告する企業に課題が生じている」と、サンフランシスコに本拠を置くBase10 Partnersのリードパートナーであるルシ・フォンセカ(Luci Fonseca)は言う。同社は、これまでに決済サービスを提供する「Nomba」や「Okra」、Eコマース企業「Bumpa」など、ナイジェリアのスタートアップに出資している。
VCファームのQED Investorsでリードパートナーを務めるグベンガ・アジャイ(Gbenga Ajayi)によると、大幅な通貨安は企業に様々な圧力をかけている。アジャイは、アフリカのスタートアップ投資を専門としており、これまでに決済サービスの「Moniepoint」や医薬品管理を手掛ける「Remedial Health」などに出資している。外貨へのアクセスは、投資家が市場で直面する大きな課題の1つだとアジャイは指摘する。
「ナイジェリアやエジプト、ケニアの出身者であれば、自国通貨が下落すると、消費力や購買力に影響を及ぼし、不確実性が増すことをよく理解している」(アジャイ)
CB Insightsによると、昨年アフリカのスタートアップが行った資金調達の件数は227ラウンドで、うち174ラウンドはナイジェリアの企業によるものだった。PitchBookのデータによると、今年為替市場の自由化が実施される前にナイジェリア企業に出資した投資家の80%以上は国外に拠点を置いており、同国のビジネスにおける外資の重要性を示している。
Nombaは2023年5月に海外VCを中心とした投資家から評価額1億4800万ドルで3000万ドルを調達しており、ラゴスに本拠を置くEコマース・スタートアップ「Sabi」は、5月に評価額3億ドルで3800万ドルを調達している。また、電子カルテ・プロバイダー「Helium Health」は、6月に実施したシリーズBラウンドで3000万ドルを調達している。組み込み型決済企業「OnePipe」は、3月に450万ドルをデット(借入)で調達したが、返済には想定以上に苦戦する可能性がある。